本日のオススメ
桃子すいか「8月のロスタイム」
(リンクスコレクション/幻冬舎/2018年)
あらすじ
大学生の翔馬は、夏休みの一カ月間を親友の蓮と”恋人”として過ごす。女たらしの蓮への片想いを断ち切るため、大学最後の時間をもらったのだ。田舎の空き家で同棲をはじめた二人は、毎日一緒に出かけ、夜は身体を重ねる幸せな日々。そんなある日、翔馬は蓮のある秘密を知ってしまう。残された時間はあとわずか――…。
【攻め】
いつも違う女を連れているノンケ
【受け】
ずっと片想いをしてきた健気なゲイ
大学4年生の翔馬(受け)が
夏休み直前、酔っ払った勢いで
女たらしの親友・蓮(攻め)に
告白したところ、
夏休みの間だけ
田舎町で同棲することになり
…というところから
始まるストーリーです。
「春夏秋冬」をテーマにした
短編集なので、夏が題材の本作の他、
3組のカップルとストーリーが描かれています。
こんな人におすすめ
- 「ロールキャベツ男子攻め」が好きな人
- 「こじらせぎみの健気な受け」が好きな人
- 「期間限定の恋人関係」に萌える人
- 「田舎町の情緒あふれる風景」を求めている人
「8月のロスタイム」 あらすじ
大学生の翔馬は、
夏休みの一カ月間を
親友の蓮と”恋人”として過ごす。
女たらしの蓮への片想いを断ち切るため、
大学最後の時間をもらったのだ。
田舎の空き家で
同棲をはじめた二人は、
毎日一緒に出かけ、
夜は身体を重ねる幸せな日々。
そんなある日、
翔馬は蓮のある秘密を
知ってしまう。
残された時間はあとわずか――…。
同時収録作
「隣りの美人草」(春)
入院した先で、隣のベッドにいた美人な男は…
「落ち葉あふれて」「枯れ木に蕾」(秋)
5年前に他界した元恋人の甥が…
「冬来たりなば」(冬)
受験シーズンが到来した幼なじみのふたりは…
「8月のロスタイム」 作品の雰囲気
作品の傾向
コミカル←|―|―|―|●|―|→シリアス
さわやか←|―|―|●|―|―|→じめじめ
物語重視←|―|●|―|―|―|→人物重視
台詞重視←|―|―|●|―|―|→表情重視
けんぜん←|―|●|―|―|―|→えちえち
現実主義←|―|●|―|―|―|→非現実的
特殊設定←|―|―|●|―|―|→王道設定
攻の良さ←|―|―|●|―|―|→受の良さ
ヘヴィー度チェック
身体虐待……………………………なし
精神虐待……………………………なし
自傷行為……………………………あり
(同時収録作「隣りの美人草」)
流血表現……………………………なし
内臓描写……………………………なし
近親相姦……………………………なし
モブ強姦……………………………なし
主役の死……………………………なり
(同時収録作「落ち葉あふれて」)
エロ修正
「8月のロスタイム」 攻め×受け情報まとめ
攻め:蓮(れん)
#黒髪 #長身 #細身 #大学4年生 #旅館の息子 #後継者 #ゆるふわ #女たらし #素直
俺たち恋人なんで!
引用元:桃子すいか『8月のロスタイム』50ページ、幻冬舎、2018年
おまえの誕生日だよ おまえの誕生日 パスワード
引用元:桃子すいか『8月のロスタイム』68ページ、幻冬舎、2018年
受け:翔馬(しょうま)
#茶髪 #中背 #細身 #大学4年生 #営業職 #健気 #こじらせ #強がり #ゲイ #一途
キスは気持ちが入るからしたくない とか 我ながら 乙女かよ
引用元:桃子すいか『8月のロスタイム』56ページ、幻冬舎、2018年
かわいいの? 本命ちゃんは 大事にしなきゃだめだろ こんなことしてないで
引用元:桃子すいか『8月のロスタイム』71ページ、幻冬舎、2018年
攻めと受けの日常会話
やっぱ
日頃の行いが
良いからかな
よっく言うよ
引用元:桃子すいか『8月のロスタイム』222ページ、幻冬舎、2018年
攻めと受けの甘い会話
今日は何する?
デート?
蓮
あちーから
はなれろ
恋人っ
ぽい…
引用元:桃子すいか『8月のロスタイム』59ページ、幻冬舎、2018年
攻めと受けのH会話
…………
やっぱ
やめよう
ちがうんだよ…
痛がらせたいん
じゃない
やさしくしたい
へいき
だから…
つづけて…
おねがい
もう最後だから…
引用元:桃子すいか『8月のロスタイム』80-81ページ、幻冬舎、2018年
攻めと受けの比較
年齢:攻め = 受け
身長:攻め > 受け
体格:攻め = 受け
立場:攻め = 受け
階級:攻め = 受け
「8月のロスタイム」 続編について
2021年7月16日現在、続編情報は出ておりません。
1巻完結の短編集です。
「8月のロスタイム」 おすすめポイント
おすすめポイント1:春夏秋冬、移ろいゆく季節感
今月のテーマは「夏に読みたい」ですが、本作は春夏秋冬をテーマにした短編集です。
季節感のある作品を読みたいとき、完全網羅できる最強のBL漫画。収録順は春夏秋冬の順番なので、表題作「8月のロスタイム」は2作目として掲載されています。夏らしさに満ちた描写がいっぱい。
入道雲の下にひまわり、ペットボトルの結露、強めにかけた扇風機など、まさに夏を感じる風景。視覚的なものだけじゃなく擬音も良いんですよ。日中は常に「み゛ーーんみんみん」「ジワジワジワ」とセミが鳴き、夜になるとカエルが「ゲコゲコ」鈴虫が「リリリリリ」と鳴く。常に何かと鳴いているの、田舎の夏あるあるすぎる。小さめの文字でさりげなくずっと鳴いているので、わりとスルーしがちだと思います。ここに注目した上で、ラスト1ページの「蓮を抱きしめ返すと 急に蝉の声がうるさく聞こえ出した」(86ページ)を改めて見直すと、胸が熱くなります。
おすすめポイント2:日常の小物がドラマチックに
道端に咲くひなげし、ラジオ体操のスタンプカード、手帳の隅の落書き、スマートフォン、カーブミラー。「どこにでもあるもの」が生み出すドラマを丁寧に描いた5つの物語が魅力的です。
とくに手帳の隅の落書きとカーブミラーが好き。
手帳の隅の落書きは、同時収録作「落ち葉あふれて」に登場します。これを発見したときのシーンに、涙腺やられます(126ページ)。亡くなった元恋人が描いた主人公の似顔絵。上手なスケッチではなく、デフォルメされたゆるキャラみたいに描かれたもの。表情がノホホンと幸せそうで、ふたりでいたときは常にこういう顔をしていたんだろうなと感じさせます。
カーブミラーは、同時収録作「冬来たりなば」をドラマチックにしたアイテムです。自分が部屋に入るまでずっと見守ってくれていたことを、カバーミラーの反射で知っていたという胸キュンエピソード。読み終わったあと、日常の小さな幸せを大切にしようと思える1冊です。
おすすめポイント3:途中は切なく、最後はあまあま
各話の最後に2ページの後日談が収録されています。これがすべて、甘々なんです……! 本編は起承転結の中で「切なさ」「すれ違い」の占める割合が高いのですが、この後日談、これまでの切なさを吹き飛ばすほど甘いです。見ていて「よかったねぇ」と目尻が下がる。
最後には全キャラが登場する8ページが収録されていて、「あなたがいる次の季節は いったいどんなものになるだろう」(226ページ)と締められています。あなたがいる”次”の季節。みんな続いているのが尊いですね。
じんわり沁みて、四季を感じられる物語が好きな人におすすめ!
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