本日ご紹介するのは橋口亮輔監督による青春映画『渚のシンドバッド』(1995年/東宝)です。
ロッテルダム国際映画祭とトリノ国際ゲイ&レズビアン映画祭でグランプリを受賞し、毎日映画コンクールでは最優秀脚本賞を獲得しています。歌手としてデビューする前の浜崎あゆみさんの演技でも話題になることが多い作品ですね。
高校2年生男子・伊藤(岡田義徳)が
部活仲間の男子生徒・吉田(草野康太)に
誰にも言えない片想いをしてしまって…
という同性愛の要素もある映画です。
『渚のシンドバッド』 製作陣(監督・脚本・音楽)
監督
橋口亮輔
脚本
橋口亮輔
音楽
高橋和也
『渚のシンドバッド』 出演者(キャスト)
岡田義徳
草野康太
浜崎あゆみ
高田久実
山口耕史
勇静華
村井国夫
根岸季衣
山口美也子
趙方豪
『渚のシンドバッド』 あらすじ
男女6人のひと夏の青春群像劇
高校2年生の伊藤修司は、同級生であり部活仲間の吉田浩之に恋愛感情を抱いてしまう。伊藤と吉田の間に、無邪気に割り込む奸原。レイプ事件をきっかけに転校して来て以来、孤立している相原果沙音。怪しげなカンパを集める松尾。吉田と交際中の彼女・清水。それぞれが思いを抱える中、伊藤はついに吉田に告白する。
『渚のシンドバッド』 登場人物まとめ
伊藤修司(いとう・しゅうじ)
#黒髪 #小柄 #細身 #色白 #高校生 #吹奏楽部 #トロンボーン #父子家庭 #寡黙 #一途 #皮肉屋 #ゲイ
メシとかは…自分で作って食べてる
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』00:20:55、東宝、1995年
友達みたいとかじゃなくて ちゃんと吉田のこと好きだから ちゃんと好きなんだ
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』00:52:58、東宝、1995年
吉田浩之(よしだ・ひろゆき)
#黒髪 #長身 #細身 #タバコ #高校生 #吹奏楽部 #指揮 #リーダーシップ #正義感 #大雑把 #腹黒 #ノンケ
伊藤 相手にすんなよ おい奸原 止めてやれよ
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』00:50;42、東宝、1995年
俺はあいつみたいにさ…男 好きになったりしないから 俺 伊藤みたいにヘンタイじゃないから
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』01:30:40、東宝、1995年
相原果沙音(あいはら・りさね)
#女子高校生 #吹奏楽部 #クラリネット #レイプ被害者 #正直 #無愛想 #ミステリアス #衝動的 #クール
一緒に寝る? ……嘘だよ なんであたしがアンタと一緒に寝なきゃいけないの
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』00:33:39、東宝、1995年
おせっかいな女の真似みたいなことしないでよ
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』01:48:33、東宝、1995年
奸原とおる(かんばら・とおる)
#男子高校生 #明るい #お調子者 #嫉妬
手相見てやるよ 手相! 手相! 手相マニアのカンちゃんって言ったら有名だぞ 損はさせないから ちょっと見してみろよマジで
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』00:39:38、東宝、1995年
清水彩子(しみず・あやこ)
#女子高校生 #吉田の彼女 #優等生 #鈍感
私は相原さんのこと 苦手ってわけじゃないんだけど なんか 近寄りがたくない?
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』01:09:07、東宝、1995年
松尾リカ(まつお・りか)
#女子高校生 #悪知恵 #強気 #夜遊び
あのさぁ 今の 聞いちゃった? 清水さん あたしたち 信じてるからね?
引用元:橋口亮輔『渚のシンドバッド』00:15:07、東宝、1995年
『渚のシンドバッド』 3つの見どころ
ポイント1:岡田義徳さんの「同性への片想い」演技がすごい!
キャストの中で知名度が高いのが浜崎あゆみさんなので、「歌手なのに演技がうまい」と持っていかれがちな本作。もちろん彼女も素晴らしいのですが、当サイト『本日のボーイズラブ』としては岡田義徳さんの繊細な表現に感動しました。誰と接していても「この子は伊藤が本当に好きなんだな」と思わせるのです。
重要なのが“誰と接していても”というところ。伊藤と接しているときはもちろん、相原や奸原とふたりだけで話しているときにも表れています。そこがすごい。目線の動かし方、唇や口角の加減、指先の強弱など細かい部分に気持ちが宿っています。さらに、わざとらしくなく、かつ思春期感がちゃんと出ています。とてもナチュラル。
また、「好き」と「嫌い」のバランスも巧みに表しています。「好き100%」のときの恋をしているときの顔、「好き80%・ちょっと嫌になってきた20%」のときに見え隠れする呆れた雰囲気、「好き20%・もう嫌80%」のときの僅かに情が残る目つき。今どれくらい好きなのか、如実に伝わってきます。
ポイント2:ロケ地(長崎県)の効果的な美しさと汚さ
全員標準語ということもあり、長崎っぽさは感じられません。ただ、背後に広がる風景が情緒あって美しいのです。カラッと晴れた青空に、夏の青々とした木々が映えている爽快な景色。学校の近くには川が流れていて、昼と夜とで全く異なる魅力を見せてくれます。ヒロイン・相原の「田舎」には、夏みかん畑が広がり、鮮やかな緑の中にゆらゆらと光る黄色が印象的。
一方で、美しいだけではないのが良いところ。登場人物が薄暗い気持ちを抱いているときは、少し濁った川だったり、潮風で錆びついた工場だったりと「汚れた場所」が映し出されます。全部キレイなものなんてない、という本作のキャラクターたちに通じる部分を感じられました。
ポイント3:ピンクレディの歌詞とのリンク
映画のテンションはピンクレディの『渚のシンドバッド』ほどポップで明るくないのですが、歌詞のワードが散りばめられた演出にニヤリとする人はいるはず!
「ここかと思えば またまたあちら 浮気なひとね(引用:阿久 悠『渚のシンドバッド』)」=吉田
→清水という彼女がいながら、伊藤に告白されてキスを受け入れるし、最後には相原に行く。
「くちびる盗む早わざは うわさ通りだわ(引用:阿久 悠『渚のシンドバッド』)」=伊藤
→最初にキスをしたのも伊藤から、吉田にキス(人工呼吸)をさせたのも計算通り。
「私はいちころでダウンよ もうあなたに あなたにおぼれる(引用:阿久 悠『渚のシンドバッド』)」=伊藤
→夜の海で繰り広げられる、クライマックスシーン。
「あなたの部屋へ しのんで行くよ(引用:阿久 悠『渚のシンドバッド』)」=相原(+伊藤)
→相原が見つけて伊藤に教えた、海外旅行中の家。
こういうところが私としては
オススメ! ほかの皆さんの
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『渚のシンドバッド』 みんなの感想
『渚のシンドバッド』 DVD/Blu-ray特典
1995年の作品ということもあり、Blu-rayは販売されていません。人気作のためDVDは再プレスも多く、新品での購入も可能です。DVDには対談や解説などの特典映像が付属しています。
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