パロディって著作権侵害にならないの? 問題になりやすい/なりにくい基準が分かる漫画つき解説!

パロディとは?著作権侵害にならないの?許容範囲の基準サンプル漫画!

こんばんは、佐原カジカです。
8月になり、以下の記事がたくさんの方に読まれました。

この背景には、8月17日に起きた大きな事件があります。

「顔と髪の毛以外のページ全体および書き文字に至るまで一致」
「Twitter上での経緯説明を求めてまいりました(中略)プライバシーを理由に当事者が拒絶」
びっくりする文言が並ぶ衝撃的な事件でしたね……。

結果、トレースに関する記事を読んでいただけたようです。
そこで新たにいただいた質問がこちら。

悩む人
悩む人

この記事で、なぜトレース行為が

良くないのかは分かったんだけど、

パロディってどうなの?

トラブルになったらどうしよう…。

今回はそんな方のために、問題になるパロディと問題になりにくいパロディの違いを書きました。
「そもそも“パロディ”とは?」という方のために、順を追って説明していきますね。

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パロディの意味とは? 簡単に言うと…

元ネタを使って何かを表現すること」で、もともとは”風刺”の意味を込めた内容を示しています。元ネタを茶化す表現ということです。新聞に政府関係者を皮肉に描いたイラストがあったりしますよね。あのような風刺画もパロディです。

今となっては”風刺”の部分は薄れ、日本における「パロディ」は「元ネタを使ってコミカルな表現をすること」程度になったと感じます。

皮肉さやコミカルさがないものについては「パスティーシュ」「オマージュ」といった別の言葉があるのですが、あまり馴染みがないせいか、一緒くたにされていることが多い印象です。

今回は「元ネタを使ってコミカルな表現をすること」を「パロディ」として、問題になりやすい/なりにくいサンプルを挙げていきますね。

パロディ作品を作る前に〜著作権と過去のトラブル〜

結論から言ってしまえば、パロディは「誰かが不快に思った時点でトラブル化する可能性がある」ものです。これを踏まえた上で作りましょう。

「誰か」は作家自身である場合と、それ以外の人物であるパターンがあります。後者の場合、トラブルにはなっても法的な罰則が与えられることはありません。

そのため、著作権が切れている作品を扱えば、基本的には大きな問題にならないでしょう。

悩む人
悩む人

著作権が切れている?

そんな作品あるの?

 著作権の保護期間は,原則として作者の生存年間及びその死後70年間です。そのため、太宰治や江戸川乱歩などは著作権が切れており、多くのパロディ作品が世に出ています。

2018年には「星の王子さま」(著:サン=テグジュペリ)の著作権が切れたことで、様々な商品が登場しました。

その中の一つは、原作ファンから大ブーイングを受けて販売停止になっています。
これが、「誰か」が作家以外のパターンです。サン=テグジュペリは亡くなっており、子や孫もいません。また、商品には”le Petit Prince (r)”と”(c)LPP612 2018”の表記があったため、商標権としても問題がなかったものとなります。つまり、「ただのファン」が起こした騒ぎによって差し押さえられた事例です。法的に問題がなくても、ファンから嫌われてしまえば大きなトラブルになることもあります。

このように、パロディには様々なリスクがあるということを理解した上で、「それでもパロディやりたい!」という方に向けて「どんなパロディだとトラブルになりにくいのか」「どんなパロディだとトラブルになる可能性があるのか」を解説していきます。

漫☆画太郎先生の「星の王子さま」パロディ(全6巻完結)
星の王子さま 1

星の王子さま 1

タイトル星の王子さま
著者漫☆画太郎
発行集英社

サン=テグジュペリの名作「星の王子さま」を漫☆画太郎が独自の解釈で漫画化! 飛行機の故障で砂漠に不時着したパヤオが出会ったのは、羊の絵を描いて欲しいと言うクレイジーな少年だった…!

トレースっぽいパロディは違法じゃないの?

私の好きな作家さんは

パロディしまくってるよ。

トレースっぽいけど

特に訴えられても

いないみたい。

気にしなくても

いいんじゃないかな…?

商業誌の場合、持ちつ持たれつな関係が築かれているからこそできるのです。
A社のパロディ作品をB社が発表したり、その逆があったりする「お互いさま」の状態。同じ雑誌で連載している場合は、掲載前にパロディの許可をもらっていることも多いですね。

一方で、同人の場合はパロディ “する” ことはあってもパロディ “される” ことはないので、「お互いさま」とは言えません。つまり「好きな作家がパロディをやっているから、私が同人誌でパロディ作品つくっても問題ない」という考えは少し危険です。

「少し」危険という言い方をしたのは、よほどのことがないと、基本的に作家(および出版社)は訴えないからです。パロディによって生まれる面白さがあるということを理解している方も多く、滅多なことではトラブルになりません。著作権に関することは親告罪ですので、作家本人が訴えなければ直接的な罰を受けることは少ないと言えます(ファンによる「私刑」はあるかもしれませんが)。

逆に言えば、「よほどのこと」である場合、商業誌でも訴えられるということです。

上は「パロディ元のキャラクターが誤解されかねない」ということで「同一性保持権」(=著作者人格権の1つ。勝手な改変をされない権利)でNGを喰らったケースですね。

つまり「パロディ元がそもそも分からない」「パロディ元の作品が誤解されかねない」といった内容のものが問題になるということです。

問題になりやすいパロディ・問題になりにくいパロディ

では実際に「問題になりやすいパロディ」と「問題になりにくいパロディ」を見ていきましょう。

たとえば『ジョジョの奇妙な冒険』から、岸辺露伴というキャラクターの「だが断る」をパロディにした4コマを作ったとします。

これから行うパロディのネタ元
タイトルジョジョの奇妙な冒険 第4部 モノクロ版 9
著者荒木飛呂彦
発行集英社

ある日、トンネルの中に「部屋」を発見した露伴。その奇妙な光景を仗助に訴えるが相手にされず、一人、調べるうち足跡のようなスタンドに襲われ、部屋に引きずり込まれてしまう。心配して戻ってきた仗助は捕われた露伴を助けるため、本体捜しに奔走するが…!?

ちなみに、ジョジョでやっているのは「インスパイア」というものです。楽曲やブランドから発想したものは「パロディ」ではありません。

まず「問題になりやすい」パロディを作ってみました。

問題になりやすいパロディ

右側にある「読者の反応」にも注目してください。

パロディとは?著作権侵害にならないの?許容範囲の基準サンプル漫画!(問題になりやすいパロディ)

かなりゆるいパロディです。
偶然かぶってしまったかのようにも感じるし、岸辺露伴を知っている人は思い出すかもしれないし、知らない人からするとオリジナルにも見えます。

加えて、「けど断る」を検索しても原作がすぐには分からない状態です。

岸辺露伴は探せない
岸辺露伴は探せない(言いたかっただけ)。

このように、元ネタが限りなく薄味になってしまっているパロディは「パクリ」とみなされても仕方がありません

仮に、パターンBの漫画がジョジョを知らない人々の間で流行したとしましょう。大なり小なりトラブルになりそうなことは、なんとなく分かると思います。

パターンB漫画のファン「けど断る!」
パターンB漫画を知らないジョジョファン「え? 『だが断る』でしょw」
パターンB漫画のファン「いや、『けど断る』だよ? プリン断るネタの…」
パターンB漫画を知らないジョジョファン「は? プリン?」

パターンB漫画のファンがジョジョを知る〜

パターンB漫画のファンだった人「パクリじゃん!! Twitterにアップしてやる」
パターンB漫画の作者「ゆるパロだったのに……」

あとはTwitterで
「偶然じゃない? これパクリって言い始めたら何も作れないだろ」
「顔のアップで「逆説+断る」は完全にパクリ」
「パロディやオマージュというものは…うんぬんかんぬん」

これらの意見を持つ人々が原作(=パターンB漫画)の他ページを読みもせず、もみくちゃにして終了です。

では、どんなものならちゃんと「パロディ」だと認識されるのか。
ということで、問題になりにくいパロディ例です。

問題になりにくいパロディ例

先ほどと同様、読者の反応にも注目してください。

パロディとは?著作権侵害にならないの?許容範囲の基準が漫画で分かる(問題になりにくいパロディ)
荒木先生っぽく描くの難しいですね……。

4コマ目で急にイラストのタッチが変わり、フォントも硬くなるので、パロディであることがすぐに分かります。

岸辺露伴を知らない人も「何か元ネタがあるのかな?」と気づくのではないでしょうか。「だが断る」で調べると元ネタが『ジョジョの奇妙な冒険』だとすぐに判明します。

だが断る

検索してすぐに出るのは、ジョジョが有名な作品であることも理由の一つです。

これほど明確なパロディで、漫画をたしなむ人なら知っている元ネタなのに「パクリだ!」と騒がれたら運が悪かったと言えるでしょう。

もちろん、あからさまにパロディであってもトラブルになる可能性は少なからず存在します。先程の「異世界転生者殺し‐チートスレイヤー‐」は、あからさまなパロディだったことで却ってトラブルになりました。

他にも、元ネタがマイナーすぎると読者がパロディとして認識しません。というより、パロディの面白さは「元ネタを知っている」ことが前提なので、つまらないパロディになります。さらには、のちのち「マイナーな作品をパクった作家」と言われかねません。

ということで私の結論は、

パロディ作品を作るなら、メジャーな作品の一部分を徹底的に真似するのが良い。

ただし、パロディであってもトレースは避けましょう。一生懸命タッチを真似するのもパロディの本質である「リスペクト」のうちだからです。上の例で微妙に似ていないのはジョジョ4部の色んなカットを見ながら真似たから(トレースではない)です。あと高級なプリンは「強い」。

その上で何度も繰り返しますが、著作権を持つ人物が存在する場合、パロディは訴えられるリスクがあるものです。少しでも危険があると怖い、という場合は著作権が切れている作品を使いましょう。サンプルの漫画はあくまで「問題になりにくい」だけですので、「言った通りにしたのに訴えられた!」となっても当サイトでは責任を負えません。ご了承ください。

まとめ

商業誌のパロディ事情や、著作権が切れていても問題になった事例、トラブルになりやすい/なりにくいパロディのサンプルを挙げて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

全体をまとめるとこんな感じです。

  • リスクゼロのパロディは存在しない
  • 商業誌間のパロディ規制がゆるいのは「お互いさま」だから
  • 同人誌と商業誌の間に「お互いさま」はない
  • とはいえ、よほどのことがないとトラブルにはならない
  • 原作が分からなくなっているパロディはトラブルの元
  • 原作のイメージを損なうパロディはトラブルの元
  • パロディにするならメジャー作品の一部分を徹底的に真似る

一次創作の同人誌でパロディをする場合を考えてきましたが、二次創作でパロディをやる場合(例:「呪術廻戦」の二次創作で「東京卍リベンジャーズ」のパロディをする)いつも以上に注意しましょう。

この記事を読んでくださっている方は問題意識があるはずで、過剰に萎縮させてしまうのは不本意ですが、記しておきます。思わぬトラブルに発展したとき、その作品の同人界隈に悪いイメージがつきます。下手すると原作自体に悪い印象を与えることもあるということをご理解ください。

最後までご覧いただきありがとうございました!
参考になりましたら幸いです。