大森立嗣監督『光』(出演:井浦新・永山瑛太・橋本マナミ)感想とストーリー解説【ネタバレあり】

このBLマンガに光あれ
大森立嗣監督『光』(出演:井浦新・橋本マナミ・永山瑛太)感想とストーリー解説【ネタバレあり】
この記事について

三浦しおん原作・大森立嗣監督映画『光』のあらすじ、ストーリー解説と感想レビューをまとめました。※途中からラスト(最後の結末)に関するネタバレも含みます。ネタバレ前はワンクッション入れていますが、ご了承ください。ネタバレのない記事が見たい方は「映画『光』(原作:三浦しをん)あらすじと無料フル動画の配信情報【ネタバレなし】」をご覧ください。

僕たちは
人間のふりをして
生きている

2017年に発表された映画『光』。原作は三浦しをん先生の小説です。主役を演じたのは井浦新さんと永山瑛太さんのふたり。ARATAから井浦新、瑛太から永山瑛太になった役者さん。どことなく演技の仕方も共通点あるなーと勝手ながら思っていました。そんな素敵なタッグが見せてくれる狂気、最高です。

さて当サイトは「本日のボーイズラブ」なわけですが、このふたりからはほんのりと執着病みBLの香りが漂っています。1時間10分過ぎから不穏BL好き必見。キスやセックスはしないけれど、「ブロマンス」というより「究極の片想い」っぽい執着感です。

音楽はジェフ・ミルズ大自然の映像に爆音EDMなシーンが結構入っています。ミスマッチ感が醸し出す不思議な雰囲気が独特です。1時間24分ごろは特にビデオドラッグ的な演出ですね。つまり、小説を淡々と映像化したものではありません。小説の代わりに見るタイプではない映画です。

ここから先は、他にどんなキャストが出てくるのか、病みBLっぽさはどんなシーンに現れているのかを紹介していきます! これ以上のネタバレを避けたい方は、ネタバレなし版の記事映画本編をご覧ください。

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映画‎『光』 作品情報(制作スタッフ・キャスト)

タイトル光(ひかり)
監督大森立嗣
脚本大森立嗣
原作三浦しをん
主演井浦新
瑛太
出演長谷川京子
橋本マナミ
南果歩
平田満
音楽ジェフ・ミルズ
配給ファントム・フィルム
公開日2017年11月25日

25年前に消滅したはずの秘密を握って、今日彼は笑って現れた。

東京の離島、美浜島。中学生の信之は記録的な暑さが続く中、閉塞感のある日々を過ごしている。信之を慕う年下の輔は、父親から激しい虐待を受けている。美しい恋人の美花がいることで、毎日は彼女を中心に回っていた。

ある夜、美花と待ち合わせをした場所で信之は美花が男に犯されている姿を見る。そして信之は美花を救うために男を殺す。その夜、理不尽で容赦ない圧倒的な力、津波が島に襲いかかり、全てを消滅させた。生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだ った。

それから25年後、島をでてバラバラになった彼らのもとに過去の罪が迫ってくる―。妻子とともによき父として暮らしている信 之と、一切の過去を捨ててきらびやかな芸能界で貪欲に生き続ける美花。誰からも愛されずに育った輔が過去の秘密を携え、ふたりの前にやってくるのだった。

引用元:DMM動画(https://www.dmm.com/digital/videomarket/movie/-/detail/=/title_id=208170/)

映画『光』 登場人物(キャラクター紹介)

(C)三浦しをん/集英社 (C)2017「光」製作委員会

黒川信之(演者:井浦新)

くろかわ・のぶゆき。南海子との間に幼い娘・椿(つばき)がいる。10代のころは篠浦未喜と交際していた。

どうすれば満足だ? 殺してやろうか やったやつを見つけ出して俺が殺してやるよ それで君が満足するなら いくらでも 

引用元:大森立嗣『光』00:40:43、ファントム・フィルム、2017年

黒川南海子(演者:橋本マナミ

くろかわ・なみこ。輔と不倫をしている。

ちゃんとしてあげたいの いい小学校にいれて 大学まで いい友達とずっと一緒に過ごせるようにしてあげたいの

引用元:大森立嗣『光』01:23:20、ファントム・フィルム、2017年

篠浦未喜(演者:長谷川京子)

しのうら・みき。本名は美花(みか)。プライベートを明かさないミステリアスな女優として人気。

暴力に暴力で返したものは もう 人間の世界にはいられないのかもしれない

引用元:大森立嗣『光』01:03:33、ファントム・フィルム、2017年

黒川輔(演者:永山瑛太)

くろかわ・たすく。漁師の父親から虐待されている。

あんたの旦那は あんたのことどうやって抱くのかな

引用元:大森立嗣『光』00:27:10、ファントム・フィルム、2017年

映画『光』 ネタバレあらすじ

【起】 恋人に暴行する男を見た信之は…

小さな離島で暮らす信之・美花・輔。

信之は美花と交際しており、
夜になると見晴らし台で待ち合わせをしていた。

ふたりよりも幼い輔は、
そんなとき邪険に扱われがちだ。
家では父親から虐待されており、居場所がない。

ある日、美花の実家である民宿に客がやってくる。
「なんだか嫌な感じがする」
美花はそう言って、信之を民宿へ来るよう求めた。

夕方になり信之が民宿へ訪れたが、
美花の姿が見当たらない。
探しに行くと、
森の奥で島の者ではない男に犯されていた。

うつろな目で「助けて」
と言う美花のもとへ向かい、男を突き飛ばす。
するとその男は
「誤解だ! 美花ちゃんは俺についてきた」
「どうやって俺とここでふたりになれるんだよ」
「俺が誘って美花ちゃんがついてきた」
と言い訳を重ねる。

男の言い分に一瞬戸惑う信之だったが、
美花から「ねえ信之 そいつ殺して」と頼まれ、
勢いのまま手で首を絞め殺した。

呆然とするふたりは、
背後に立つ輔に気づかない。
その手にはカメラがあった。

翌日、
男から犯されたことや
殺してしまった事実を
周囲に隠したまま
いつものように見晴らし台で
待ち合わせをした信之と美花。

追いかけてきた輔と共に
海を眺めていると、
突如大地震が発生

島が津波で呑まれてゆく様子を
見晴らし台から眺めることしかできなかった。

【承】 25年後、3人は別々の道へ…

それから25年が経ち、
信之・美花・輔の三人は
離れて過ごしている。

信之は市役所に勤め、
美花は人気女優
輔は工場で働きながら
島から離れた場所で生活を送る。

3人の中で唯一、信之は結婚していた。
妻の南海子5歳の娘・椿とともに、
小さなアパートで暮らしている。

アパートのある団地は、
何者かによってゴミが荒らされることが増えていた。
気味が悪いと感じた南海子は、
引っ越したいと信之に持ちかける。
しかし、気にしすぎだとあしらわれてしまう。

そんな日々が長く続き辟易していたのか、
南海子は不倫をしていた。
窮屈な毎日から羽を伸ばすために
会っていた相手は輔だった。

南海子は輔と信之に繋がりがあることなど
まったく知らないまま、
週に何度か輔に抱かれている。

保育園に椿を預けては、
輔の部屋を訪れる
南海子。
輔がいなくなっても、
部屋に居座って時間を潰すこともあった。

夕方になり、憂鬱な面持ちで保育園へ迎えに行くと、
保育士が血相を変えて駆け寄ってくる。

園内で遊んでいる間、
ふと目を離した隙に
椿がいなくなった。
命に別状はなく
帰ってきたものの、
見知らぬ男から
いたずらをされた
と言うのだ。

パニックに陥る南海子とは対照的に、
信之は落ち着いて「普通に接する」ことを選んだ。
椿はまだ子供で、周りがいつものように接していれば
やがて忘れると考えたからだ。

思ったような言葉をくれない信之を
責める南海子と、
悪夢にうなされる椿。

しかし信之には、
さらなる苦しみが待ち受けていた。

輔が25年ぶりに連絡を取って来たのだ。

輔は、南海子が信之の妻であることを
知りながら抱いていた。

【転】 軽い脅迫と重い脅迫

輔は「不倫がバレたら困るんじゃないの」と
公務員の信之から金をせびろうとしたが、
まるで相手にされない。

南海子に言え どちらにしろ俺が稼いだ金だ」
そう言って去ってゆく信之。
しかし輔は南海子を脅すことはしなかった。

その後、輔は南海子から
「もう会わない」
と拒絶される。
椿の事件があったとき、
輔の部屋にいたことの後悔からだ。

不倫関係ではなくなった輔と南海子。
次に輔が脅しの道具にしたのは、
25年前の事件についてだった。

「何をしたか知っている」
「決定的な証拠がある」

そう言って信之の気を引こうとするが
「女優の美花に言ったほうが
 金をもらえる」
と一蹴されてしまう。

そんな折、輔の父が
輔の工場へ
訪れる。

25年前の写真を現像した男が亡くなり、
遺品整理をしていたところ、
「輔が人を殺した」と書かれた
手紙
が出て来たのだ。

父はそれを元に脅迫しようとする。
輔は幼いころ受けた虐待の影響からか
父に逆らうことができず、
洗いざらい事件の終始を話し
た。
そして女優の美花を脅したほうがいいと伝え、
証拠となる写真を渡す。

すると、父は美花に写真のカラーコピーを
送りつけて脅迫
を始めた。

美花は信之を呼び出し
なぜこんな写真が残っているのかを
問いただし、理由も言わず金を押しつけてきた

金をつかってどうにかしてほしい、
そんなメッセージだと受け取った信之は
再び輔に接触する。

【結】 光と闇

輔が父と再会して
どん底に陥っていることを知った信之は
「俺が殺してやる」
と持ちかけ、写真を奪おうとする。

しかし父が写真の原本を隠してしまい、
口を割らせないことには
殺すこともままならない。

酒に微量の睡眠薬を溶かし、
昏睡状態の中で聞き出そうとするが
すぐに寝てしまう日々が続く。

まるでうまくいかず、
苛立ちを募らせる信之と輔。

輔が写真の在り処を探す間、
信之は穴を掘っていた。
父を殺した後に埋めるための穴だ。

ところが、準備が整ったところで、
輔の父は頓死する。

連日の睡眠薬と酒の影響か、
眠るように死んでしまったのだ。

父を殺す必要がなくなった輔。
ふとしたきっかけで写真も発見された。

目的が果たされたふたりは──

続きは本編をご覧ください!

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映画『光』 ネタバレ感想

(C)三浦しをん/集英社 (C)2017「光」製作委員会

ここから先は『光』のネタバレを含みます。
『光』未視聴の方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

 輔(瑛太)の執着病み受け……良い……! 

 とにかく信之(井浦新)から無視されたくなくて、気を引こうと一生懸命な輔。
 だからこそ信之から「俺じゃなく南海子(橋本マナミ)を脅せ」「俺じゃなく美花(長谷川京子)に言え」と言われても絶対に言わないんですよね。本当の目的は金じゃなくて、信之から無視されないことだから。

 さらに独占欲が強い。なので、自分は美花を狙わないけど、父親には美花を狙わせます。脅すなら女優の美花だよ、と誘導する。矛先を信之以外に持っていこうとする。自分以外が信之に接触しないように。いや〜、執着BLの魅力が詰まっていますね。

 何故「受け」としているかというと、上にあるセリフにもある通り「あんたの旦那は あんたのことどうやって抱くのかな」と南海子から聞き出そうとしているからです。そして南海子から「あなたと同じように足の指を吸うことがある」と言われ、満足気な表情を浮かべるんですよ。答え合わせで点数が取れた子供みたいな無邪気な顔です。

 この時折見せる幼い表情がまた上手いし可愛い。
 信之が「(椿を犯した男を)殺してやろうか」と言ったとき、南海子は「何言ってるの?」とごく普通の反応を見せます。対する輔は、信之から「(お前の父親を)殺してやろうか」と言われ、「ほんとぉ!?」と目をキラキラさせるんですよ。無邪気に喜んで「ユキにいちゃん」と慕う。南海子と輔、真逆な様子が際立っていて良かったです。

 さらに輔は、死んだ後も信之から忘れられたくないのか、南海子に対し爆弾をしかけておきます。写真のネガや事件の顛末を南海子宛で送っているんです。何者でもない誰かから送られてきても本気にしないでしょうけれど、かつての不倫相手からの暴露。ないがしろにはできないものですよね。不倫の最大の目的がこれだとしたら、執着受けの極みすぎる。信之に殺されたくて、信之に永遠に覚えておいてもらいたいという輔、メンヘラ受けの頂点では!?

 ちなみに輔の思いは実りません。相手にすらされません。信之は美花のことしか見ていないから。そして美花は誰のことも見ていない状態。信之と輔が一方通行の重い愛をこじらせた結果の物語です。

 信之と輔はキスもセックスもしませんが、1時間10分あたりから組み敷いたり組み敷かれたり、肩を抱いたり頭を撫でたりします。たぶん信之、分かってやってるんだろうなという打算的な甘い言葉や頭撫でなのがまたエモい。病みBL好きな方には是非一度ご覧いただきたい作品です!

映画『光』 最後の結末について考察

(C)三浦しをん/集英社 (C)2017「光」製作委員会

あくまで個人的な考察です。ご了承ください。

ラストシーンの意味とは?

信之が帰ってきたことで、はしゃぐ椿。
元気いっぱいに「パパ、パパ、パパー!」と飛び跳ねる中、輔の声が流れます。

待っていればそれは
必ずやってくるって知ってるか
あの津波のように 理不尽に
いつも日常の中に潜んでいる

引用元:大森立嗣『光』02:12:10、ファントム・フィルム、2017年

「それ」とは「抗えない強い力」のことではないかと考えます。平和に暮らしていると思っていても、唐突に壊されることがあると示唆したモノローグ。

登場人物全員、何かしらの「抗えない強い力」に触れています。

信之→美花の支配+自分の中の殺意
輔→父親の虐待+信之からの殺害
輔父→妻の家出+息子からの殺意
美花→客からの強姦+マスコミの詮索
椿→不審者からの強姦+南海子からの虐待
南海子→信之のif(1:16:40〜)+信之の家出+世間の目

殴る・蹴る・犯すのような分かりやすい暴力もあれば、精神的な支配もありますね。

この言葉の背景で笑う椿は、温かい光でもあり、暴力へと導く光でもあり……。

とてつもなく暴論ではありますが、子供がいなければ児童虐待は生まれないですからね。
配偶者が家出をしたことで不安定になり、息子に暴力をふるった輔父。同じく信之が家出をしたことで不安定になり、椿に虐待しかけた南海子。

この子のために頑張ろう。そう思える光であると同時に、この子がいるから自由になれない。そんなふうにも思ってしまう光。

輔にも工場長(めっちゃいい上司)という光がいたり、美花にもファンという光がいたりするのに、なぜか暗いほうへ向かってしまう。輔は「島のせい」としていますが、南海子と椿は巻き込まれた外部の人間。3人が島の外へ出たことで、暴力の連鎖や波紋が広がっているわけです。どんなに安全圏内にいても、遠くからやってきた波が全てを壊すことがある。そんなエンディングだと感じました。

映画『光』 全体の感想レビュー

コミカル←|―|―|―|―|●|→シリアス
演技重視←|―|●|―|―|―|→見目重視
台詞重視←|―|―|―|●|―|→画図重視
けんぜん←|―|―|●|―|―|→えちえち
さわやか←|―|―|―|―|●|→じめじめ
現実主義←|●|―|―|―|―|→非現実的
特殊設定←|―|―|●|―|―|→王道設定

一言コメント

暴力、強姦、殺人、不倫、隠蔽、脅迫などなどドロドロした内容。日常の中にも不穏さがあり、息つく暇がありません。

怖い/グロいものチェック

身体暴力……………………………あり
性的暴力……………………………あり
精神暴力……………………………なし
流血表現……………………………あり
自傷行為……………………………なし
内臓描写……………………………なし
近親相姦……………………………なし
主役の死……………………………あり

一言コメント

内臓は見えませんが流血表現は繰り返し起こります。バイオレンス系が苦手な方は避けたほうが良いかもしれません(加虐シーンを飛ばしてしまうと意味が分からなくなります)。

小説『光』 三浦しをん原作作品との違い

島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするがー。

映画と原作の違い
  • 大災害のタイミング(小説:事件前/映画:事件後)
  • 年月の経過(小説:20年後/映画:25年後)