一晩だけ誰よりも美しく【BLマンガ感想】池玲文『魔術師シルヴァンの店』レビュー

本日のオススメ
池玲文「魔術師シルヴァンの店」

美しく強き魔術師攻め
×
健気で心優しい元奴隷受け

美貌の魔術師・シルヴァンが営む店で下働きをしている、心優しい元奴隷・ティム。一度でいいから、シルヴァンに愛されたい──そう考えた彼は、別人になれる魔法薬を飲み、シルヴァンの寝所に忍びこむが……!?

本日のオススメは
池玲文先生の作品
『魔術師シルヴァンの店』

美しく強い魔術師・シルヴァン(攻め)が営む
魔術店で働いている
元奴隷の心優しき青年・ティム(受け)
「一晩だけ誰よりも美しく見える魔法薬」を使い、
勇気を出してシルヴァンへ
愛の告白をするが……
というところから始まるストーリーです!

メインCPはもちろん、
シルヴァンの店を訪れた
お客さんたちの話も魅力的。

さっそく詳しく紹介していきますね。

こういうのを探している人は読むべし!

  • 「ミステリアスなスパダリ攻め」で良い作品ないかな〜
  • 「健気で純情な大型男子受け」で萌える作品ほしい!
  • 「実は両片思いな主従関係」をくれ……。
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作品の概要

タイトル

魔術師シルヴァンの店

著者

池玲文

レーベル

CHARA コミックス

あらすじ

強大な魔術を宿す言葉を
マスクで封じた美貌の魔術師
――そのシルヴァンが営む店で
下働きをしている
心優しい元奴隷のティム

賊に襲われ瀕死だったところを救われて以来、
一途にシルヴァンを想い続けてきた

元は奴隷にすぎない俺でも、
一度でいいから愛されたい――

募った恋心に突き動かされ、
美しい別人になれる魔法薬を飲み
シルヴァンの寝所に
忍んでいくが!?

同時収録作

表題作のみですが、
2〜4話はシルヴァンの店に来た
お客さんカップルの話です。
メインCPは1話と5〜7話。

作品の雰囲気

コミカル←|―|―|●|―|―|→シリアス  
物語重視←|―|―|―|●|―|→人物重視
台詞重視←|―|―|●|―|―|→表情重視
けんぜん←|―|―|●|―|―|→えちえち
さわやか←|―|●|―|―|―|→じめじめ
現実主義←|―|―|―|―|●|→非現実的
特殊設定←|―|―|●|―|―|→王道設定
攻の良さ←|―|―|●|―|―|→受の良さ

わたし
わたし

洋ファンタジーの世界で

美しく繰り広げられる

物語と変態性。

魔法薬で絶世の美男子になったり

魔法薬で人間椅子を作ったり

魔法薬で妻の愛人になったりと

いろんな薬が登場します。

サブCPも主従BLで
美丈夫社長×小柄そばかす秘書
かわいらしいふたりです。

登場人物まとめ

攻め:シルヴァン

#金髪 #長髪 #長身 #筋肉質 #魔術師 #親孝行 #冷静 #畏敬 #暗い過去 #溺愛 #スパダリ

「いじらしい真似をして…魔術なんかいらないんだよ? こんなに可愛いんだから」(38ページ)
「どうしてすぐに離れようとするんだい? 私は君を抱きしめて眠りたい 君は違うのかな?」(123ページ)
「お父さんはどうするのですか?」(151ページ)
「ティム…可愛いね…大好きだよ」(174ページ)

引用元:池玲文『魔術師シルヴァンの店』、徳間書店、2021年

受け:ティム

#茶髪 #長身 #筋肉質 #刺青 #魔術店店員 #元奴隷 #健気 #優しい #真面目 #臆病 #純真

「…俺を 抱いてくれませんか……!?」(28ページ)
「毎日夢の中みたいに幸せだからシルヴァン様には俺よりもっと幸せでいて欲しい」(126ページ)
「──でも俺 一番大事な部分は知ってるんですよ シルヴァン様はとても優しいって」(142ページ)
「すごい……キラキラしてる シルヴァン様の瞳 優しくて 大好きです」(171ページ)

引用元:池玲文『魔術師シルヴァンの店』、徳間書店、2021年

攻めと受けの比較

【年齢】 攻 > 受

【身長】 攻 < 受

【体格】 攻 < 受

【階級】 攻 > 受

【立場】 攻 > 受

この作品を読む!

池玲文
『魔術師シルヴァンの店』

あらすじ

わたし
わたし

1話+5〜7話が

メインCP、

2〜4話は別CPの

スピンオフなので、

起承転結は

メインCPに絞って

まとめました。

ご了承ください。

一度でいい 嘘でいい 愛されたい──

池玲文『魔術師シルヴァンの店』28ページ、徳間書店、2021年

 元奴隷の心優しき青年・ティムは、稀代の天才魔術師・シルヴァンが営む魔術店で働いている。半年前、山賊に襲われて死にかけているところを助けてもらったことがキッカケだ。
 次第にティムは、シルヴァンへ惹かれてゆく。しかし、元奴隷という身分や、大柄な体型では不釣り合いだと諦めていた。
 ある日、魔術店に来た客が頼んだのは「誰よりも美しく見える薬」というもの。目の前で薬を飲み、美しくなった男を見たティムは、魔が刺してその薬を盗んでしまう。

俺は… 本当は…っ 本当はティムなんです

池玲文『魔術師シルヴァンの店』34ページ、徳間書店、2021年

 ティムは「とんでもないことをしてしまった」と焦るが、それ以上に、シルヴァンに触れられたい欲が勝る。薬を飲み、シルヴァンの寝室へ訪れて告白をすると、驚くほどの強さで抱きしめられる。
 初めて抱きしめられた喜びと、シルヴァンが見ているのは自分自身ではないことの悲しみで感極まったティムは、泣き疲れて朝まで眠った薬の効果は一晩だけだと知っていたティムは、急いで自室へと戻る。
 一度得た幸福感を忘れられず、ティムは残りの薬を飲み、再びシルヴァンの寝室へ向かう。ところが、ふとした拍子に薬の空き瓶が発見され、正体が発覚。真っ青になるティムへ、シルヴァンは瓶の中身が薬ではなく、ただの調味料だったことを教える。

俺…知らないことばかりですね シルヴァン様のことも魔術師のことも…

池玲文『魔術師シルヴァンの店』141ページ、徳間書店、2021年

 「好き」を伝え合ったふたりは、初めてのデートに出かける。いままでシルヴァンと外出したことのないティムは浮かれていた。待ち合わせ場所へやって来たのは、ローブにサングラス、マスクという、完全防備をしたシルヴァンだった。
 強力な魔術師は、人間が多くいる場所で身を露わにしていると、魔術が漏れ出してしまうのだ。村人から恐れられ、宝飾店から厚遇され、あらためてシルヴァンの権威を知るティム。
 たった一声で人を操ることもでき、悪用すれば簡単に命を葬ることもできる魔術師という存在に、誰もが畏怖の念を覚えていた。

私は若い頃 たくさんの人間の心を操り 時には葬ってきた

池玲文『魔術師シルヴァンの店』165ページ、徳間書店、2021年

 ティムは出会ってからずっと、優しいシルヴァンの姿ばかりを見てきた。奴隷出身で文字もろくに読めないティムに教育を施し、立派な自室を与え、家事手伝いという名目を与えてくれた。そんなシルヴァンが冷酷な人物だとは思えなかったが、本人の口から過去の話が語られる。
 一連の話を聞いたティムが「…俺を操ってるんですか?」と尋ねると──!?
 

続きは本編で!

本編はこちら

池玲文
『魔術師シルヴァンの店』

感想レビュー

シルヴァン様が美しすぎる…
素顔だと、もはや1コマが宗教画
なんですよ。
髪の毛1本だけでも神々しい。

ティムもまた、見た目は大きいけど
ショタみたいなピュアさ
が愛らしい子。
そして雄っぱいにサスペンダーは
ごちそうすぎるという話
を先日しましたが、
この子もそれなんですよ。
しかも片っぽだけ。逆にえっちだ……。
極太ベルトと極細サスペンダー。
つよかったです。

シルヴァンのティム溺愛っぷりと
ティムのシルヴァン慕いっぷりも
とっても甘くて良い。

シルヴァンは基本的に魔術文字
掌の上に光った文字を浮かべて)
会話をしていますが、
「好き」「可愛い」「ずっとそばにいて」
などの甘い言葉は全部
口に出して言うんですよ。
素敵なスパダリですね。

このメインCPのほかにも
いろいろなキャラクターが
登場します。

シルヴァンの薬を求めて
やってくるお客さんたち

みんな健気なんです。

自信がなさすぎるがあまり
薬を使って好きな人に
近づこうとします。

健気でもあり愚かでもあり、
人間臭さが感じられます。
ファンタジーだけど
リアルな部分ですね。

その3人の中の1人が
2〜4話で描かれている
サブCPです。
長身の黒髪坊ちゃん×金髪そばかすの小柄な秘書
対比が素敵なカップル。

この黒髪坊ちゃん、店に入ってすぐ
「椅子になりたい …の ですが…」
と遠慮がちに、でも確固たる意思を持って
告げていて、これに対するティムの反応は
「(変な人来ちゃったなぁ…)」です。
客商売なので笑顔は絶やさまいと
一生懸命口角を上げている感じが可愛い。

この変な人・エーリクは
かわいい秘書・ヨハンの
事務椅子になりたい
という願望を
叶えるために
魔術店の扉を叩いたわけです。

『人間椅子』のフェチズム描写を
オマージュしているのも素敵。
臀部の感触、両手の重なり、首筋への接吻
などが丁寧に、かつ美麗な絵で描かれていて
64〜75ページ、すごく好き。
どっちのカップルもよかったです。

そしてもう1人触れておくべき人物が…
それはシルヴァンの父・蜘蛛猫!
表紙の左上にいる、
タランチュラと黒猫のハーフみたいな方です。

不思議とかわいい。
ちっちゃい前足で雑巾を絞ったり、
人を呼ぶときに片前足を頬に当てたりと
特に手がかわいいんですよ。
面倒見もいいパパ。

電子書籍限定の描き下ろしは
ティムmeets蜘蛛猫パパ本来の姿で、
かわいらしくイケオジ度の高い
4ページでした。
「にゃん!」って言いながら戻るの
かわいすぎるぞ。

ファンタジーものですが
設定が分かりやすいので
ファンタジーBL入門編にも
オススメな1冊ですよ〜!

この作品を読む!

池玲文
『魔術師シルヴァンの店』