本格ファンタジー【BLマンガ感想】ユノイチカ『夜明けの唄』レビュー

彗星の如く現れた超大型新人、ユノイチカ先生のデビューコミック『夜明けの唄』。第1話から話題を呼び、1巻は発売前重版がかかるほどの注目作です。「このBLがやばい!®️」でも2022年度のコミックランキング第2位を受賞し、今もっとも読むべきBLマンガのひとつ。
美しい絵に本格的なファンタジー年下ワンコ攻めに年上クール受けという鬼に金棒な作品。身長差と体格差にも萌えます。さっそく詳しく紹介していきますね!

今回紹介するのはこちらの本

タイトル夜明けの唄(1〜3巻/現在連載中)
著者ユノイチカ
出版社株式会社シュークリーム
レーベルfrom RED
発売年月2021年8月6日(1巻)
攻め健気に恋する忠犬ワンコ
受け無愛想な愛し下手
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ユノイチカ『夜明けの唄』 こういう人にオススメ!

  • 「健気で尽くすタイプの年下ワンコ攻め」が好きな人
  • 「無愛想で不器用に愛を注ぐ年上受け」を見たい人
  • 「ふたりでいれば、きっと大丈夫な関係」に萌える人
  • 「本格ファンタジーのBL漫画」を求めている人

ユノイチカ『夜明けの唄』 あらすじ

黒い海からくる化け物と闘うたび、
命が蝕まれてゆく戦巫女のエルヴァ

それを知った少年アルトは憤り、
エルヴァが救われる術を探しながら、
そばにいることを誓う。

そうして8年――
アルトは精悍な青年へと成長した。
ともに過ごす日々で降りつもった恋心を、
そっと胸にしまったまま…。

一方、数年の命と思われたエルヴァは、
何故かアルトと過ごすうちに
回復の兆しをみせていて…?

健気に恋する忠犬ワンコと、
無愛想な愛し下手が紡ぐ
ファンタジー・救済ロマンス、第1巻。

同時収録作

表題作のみ

ユノイチカ『夜明けの唄』 雰囲気チャート

コミカル←|―|―|―|●|―|→シリアス
さわやか←|―|―|●|―|―|→じめじめ
物語重視←|―|―|●|―|―|→人物重視
台詞重視←|―|―|―|●|―|→表情重視
けんぜん←|●|―|―|―|―|→えちえち
現実主義←|―|―|―|―|●|→非現実的
特殊設定←|●|―|―|―|―|→王道設定
攻の良さ←|―|―|●|―|―|→受の良さ

ヘヴィー度チェッカー

身体暴力……………………………あり
精神加虐……………………………なし
自傷行為……………………………なし
流血表現……………………………あり
内臓描写……………………………なし
近親相姦……………………………なし
モブ強姦……………………………なし
主役の死……………………………なし

ユノイチカ『夜明けの唄』 攻めキャラ紹介

アルトノウル

#黒髪 #長髪 #長身 #筋肉質 #18歳 #職人 #蒸発父 #母他界 #器用 #ワンコ #健気 #一途 #素直 #やんちゃ

はい!エルヴァ様の為ならなんでもやります!

引用元:ユノイチカ『夜明けの唄』67ページ、株式会社シュークリーム、2021年

行ってはいけないと言われたら…………行くだろ

引用元:ユノイチカ『夜明けの唄』134ページ、株式会社シュークリーム、2021年

ユノイチカ『夜明けの唄』 受けキャラ紹介

エルヴァ

#白髪 #茶髪 #紋様 #小柄 #華奢 #26歳 #覡 #選ばれし者 #無愛想 #不器用 #大雑把 #男前 #諦観

よくもまぁ毎晩毎晩…飽きもせず…………………来いよ ぶっ殺してやる

引用元:ユノイチカ『夜明けの唄』26ページ、株式会社シュークリーム、2021年

……あいつはいい奴だ 最初は変な奴だと思ったが 愛想もねえ つまらない俺に尽くしてくれる 今じゃ かわいくて しょうがねぇよ

引用元:ユノイチカ『夜明けの唄』184ページ、株式会社シュークリーム、2021年

ユノイチカ『夜明けの唄』 CP比較表

年齢:攻め < 受け
身長:攻め > 受け
体格:攻め > 受け
立場:攻め < 受け
階級:攻め < 受け

ユノイチカ『夜明けの唄』 見どころとオススメ

ここから先はネタバレを含みます。
ご注意ください。

その1:得体の知れないモノとの戦い(41〜49ページ/168〜176ページ)

夜になると海から這い上がり、町や人を襲おうとする真っ黒な影。腕力はないものの、触れると火傷したように痛む毒性を持っています。彼らの目的は分からず、対話もできません。戦う術を持っているのは覡(巫)たちだけ。

覡たちは自ら戦うことを志願したのではなく、「選ばれた者」で、強制的に戦わなければならない状況です。選ばれた者は、髪の色が真っ白になり額に紋章が浮かびます。エルヴァも元は茶髪でしたが、「選ばれた」ことによって白髪になりました。

まだ1巻ということもあり、分からない部分のほうが多く、不気味さが漂っています。影の正体はもちろん、覡たちが何故戦わなければならないのか、何か秘密を隠していそうな修道院とシスター、背景が明かされていない登場人物たちなどゾワゾワする部分も見どころ。

ミステリ要素のあるストーリーだけでなく、バトルシーンも見ごたえたっぷり。
41〜49ページで戦うエルヴァ(受け)が凛々しくて美しくて見惚れます。このときのアルトはまだ10歳の少年。

やべえ

かっこい──!!

すごい強い!

最強!

まじ

すげえ!

…と無邪気にはしゃいでいます。気持ちはとても分かる。
真っ黒な液体を浴びながら、刃を振るうエルヴァの姿が迫力満点です。

その2:成長したアルトとエルヴァ(98ページ)

ストーリーやファンタジーの設定重視で、萌えはないのかな?
と気になった方はご安心ください。
キュンキュンすっぞ

アルト(攻め)とエルヴァ(受け)が出会ってから8年が経ち、アルト18歳/エルヴァ26歳の時系列を中心に物語が進みます。

この8年の間、幼いアルトとエルヴァは同じ布団で眠ることを習慣にしていました。しかし大人になったアルトはエルヴァへの恋心を自覚して、一緒に寝るのをためらい始めます。

さすがに…

もう18歳なので…

こういうの…

どうなのかなって…

これを言われたときのエルヴァの表情! 思わずクスッと笑えます。「パパと一緒に寝るのヤダ〜!」と子供に拒絶された父の顔ですね。
アルトは「恋」なのですが、この段階ではエルヴァは「年の離れた兄弟」くらいにしか思っていませんでした。というより、死と隣り合わせなので、恋愛について諦めています。

そんなこととは

縁を切ってる

そんな二人に「酒」が味方をしてくれました。酔っ払ったアルトがエルヴァにキスをするんですよ……。109ページが本当に印象的。1ページまるごと大ゴマで、二人の全身とエルヴァの表情が見える中距離でとらえています。エルヴァの上がった踵、アルトの猫背、大きな手で顔をホールド。身長差がたまらんですね。

その3:夢の中で二度目のキス(144-147ページ)

酒に酔ったアルト(攻め)は大好きなエルヴァ(受け)にキスをしたのですが、どこまでが本当で、どこから夢だったか分からない状態。朝起きてみると、いつも通りクールなエルヴァがいて、あれは夢だったんだなと結論づけてしまいます。

一方のエルヴァは素面だったので、何もかも記憶に残っています。それは夢に出るほど。
アルトが一週間ほど地元を離れて出稼ぎに行くことになり、一人の夜を過ごしていたエルヴァ。夢の中でやたらと人懐こい犬に出会い、ベロベロと舐められているうちに姿が変わり、アルトになって──

オレとのキスは

そんなに

よかったですか?

色気がエグい! 子犬だと思っていたアルトが「オス」な顔。それでいて、やんちゃで幼い部分も残っているんですよ。舌を出しているのですが、子供っぽさの「ベー」とエロスの「ペロ」の、ちょうど中間。絶妙な表情です。

本格ファンタジーBLと
年の差・体格差萌えなBLが
一度に摂取できる
贅沢な作品でオススメ!

ユノイチカ『夜明けの唄』 プチ考察

わたし
わたし

ちょっとしたプチ考察です。

あくまで個人の考えです。

アルトが黒い海に触れても大丈夫なのは…

「アルト」=ドイツ語で「古の」
「ノウル」=noir?(フランス語で「黒」、発音としてはノワール)
で「古の黒」、プロトタイプ的なことなのかな? と推測しています。
「ノエル」=Noël=natalis=誕生としても、プロトタイプっぽい感じかな〜と…
(舞台は実在する国ではありませんが、洋風ファンタジーなので)

ユノイチカ『夜明けの唄』 この作品が好きな人にオススメ

わたし
わたし

次の作品は

BL漫画ではないのですが、

この作品を面白いと思った方は

好きなんじゃないかな…!

13巻で完結済みなので是非。

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