【アメリカ映画】トラヴィス・ファイン『チョコレートドーナツ』レビュー

作品名
 チョコレートドーナツ
監督
 トラヴィス・ファイン
 (『チャイルド・プレイ3』)
脚本
 トラヴィス・ファイン
 ジョージ・アーサー・ブルーム
主演
 アラン・カミング
 ギャレット・ディラハント
 アイザック・レイヴァ
配給
 ビターズ・エンド
あらすじ
1979年、カリフォルニア。
シンガーを夢見ながらもショーダンサーで日銭を稼ぐルディ。正義を信じながらも、ゲイであることを隠して生きる弁護士のポール。母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・マルコ。世界の片隅で3人は出会った。
 そして、ルディとポールは愛し合い、マルコとともに幸せな家庭を築き始める。ポールがルディのために購入した録音機でデモテープを作り、ナイトクラブへ送るルディ。学校の手続きをし、初めて友達とともに学ぶマルコ。夢は叶うかに見えた。しかし、幸福な時間は長くは続かなかった。
 ゲイであるがゆえに法と好奇の目にさらされ、ルディとポールはマルコと引き離されてしまう……。血はつながらなくても、法が許さなくても、奇跡的に出会い深い愛情で結ばれる3人。見返りを求めず、ただ愛する人を守るために奮闘する彼らの姿に我々は本物の愛を目撃する。

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傾向チャート

コミカル←|―|―|―|―|●|→シリアス  
演技重視←|―|●|―|―|―|→見目重視
台詞重視←|―|●|―|―|―|→画図重視
けんぜん←|―|●|―|―|―|→えちえち
さわやか←|―|―|―|―|●|→じめじめ
現実主義←|●|―|―|―|―|→非現実的 実話に基づいた話
特殊設定←|―|●|―|―|―|→王道設定
攻の良さ←|―|―|―|●|―|→受の良さ

攻め情報

ポール・フラガー
#茶髪 #長身 #細身 #スーツ #バツイチ #弁護士 #冷静 #慎重派 #理論派 #現実主義 #衝動的 #ロマンティスト

「無防備な市民を銃で脅してただで済むと思うか」
「金でも必要なのか?」
「最初は──世界を変えてやると意気込んでた」
「僕の部屋に同居していると言ってもいいかな」
「差別じゃない 現実だ」
「くだらない理想論は結構だ」
「正義など ないんだな」

出典:トラヴィス・ファイン『チョコレートドーナツ』(ビターズ・エンド、2012年)

受け情報

ルディ・ドナテロ
#茶髪 #中背 #細身 #長髪 #ドラァグクィーン #強気 #魔性 #色気 #皮肉屋 #バブみ #男前 #正直 #強気 #単純

「音を下げて 大音量は子供の耳に悪い」
「金をやるからもう来るなって? 恥を知ることね」
「この人 自覚ないけど 私にぞっこんなの」
「何故苦しまなければならないの? 何も悪くないのに」
「キスは小さな幸運のおまじない キスする?」
「老けたオカマ2人──まだ いとこ同士だと言い張る?」
「ゲイの場合 何でもほぼ不可能よ」

出典:トラヴィス・ファイン『チョコレートドーナツ』(ビターズ・エンド、2012年)

攻めと受けの対比

年齢:攻?受
身長:攻>受
体格:攻=受
階級:攻>受
立場:攻≧受

起承転結ネタバレ

起:ドラァグクィーンとして歌っているルディ(受)に一目惚れした、新米弁護士のポール(攻)。公演後、ルディの楽屋を訪れると快く応じてくれ、車でセックス。強気でニヒルなルディにますます惚れたポールは、勤め先の電話番号を渡す。ルディが家へ帰ると、隣人が音楽を爆音で流し続けたままいなくなっている。ドアを開けると、そこには自閉症の子供・マルコが置き去りにされていた。

承:マルコの母親は、シングルマザーで薬物中毒者だった。そんな彼女が逮捕され、マルコは行くあてがない。このままでは保護施設に入れられてしまうことを危惧したルディは、どうにか自分のもとで育てられないかと考える。弁護士のポールに相談し、マルコを受け入れるための環境を整えた。ルディとポールは、マルコの母親が出所するまでの期間、監護権(保護者になること)を許される。三人での同居を開始。

転:ルディとポールは「いとこ同士」だと周囲に伝えていた。そのこともあり、監護権を獲得できたのだが、ゲイカップルであることが知れてしまう。マルコは保護施設へ連れられ、2人が保護者として本当にふさわしいか、改めて審議されることとなった。有利になる証言をする人物もいれば、不利になる人物も。結果、期待とは異なる判断が下された。ルディとポールは弁護士を雇い、控訴することに。

結:裁判の途中、マルコの母親が出所。検察側が、監護権回復を求めることを条件に、早期仮釈放すると伝えたのだ。結局、血の繋がった母親には勝てず、マルコを諦めざるを得なくなった。しかし、母親は変わらず薬物を摂取し、男が来るとマルコを家から追い出した。ルディとポールがいる家を探し回ったマルコは、3日間、町をさまよい続けたのち、橋の下で死体となって発見される。その事件は、町の新聞の片隅に掲載された。ポールは小さな記事を切り取り、検察や裁判所など、自分たちを味方しなかった者へ送った。

補足

深く考えさせられる良い作品なのですが、
とても悲しいラストなだけに、
視聴後は結構引きずります。
(配給会社は
 「ビターズエンド」だけど
 作品のエンディングは
 「バッドエンド」という…)
公開当時、私は就活中で、
次の面接まで時間があったので
渋谷のミニシアターで観たのですが
その後の面接、ボロクソでした。

それくらい引きずるので、
しんどい…となったときはこちらを。
対義語の「his」です。

こちらも同性愛者カップルが親権を争う物語ですが、晴々としたラストです。

予告映像と本編の視聴はこちらから

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