「好き」だけではどうしようもない──「his」ネタバレ感想・情報まとめ

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「his」 あらすじ

迅は周囲にゲイだと知られることを恐れ、
ひっそりと一人で田舎暮らしを送っていた。

そこに、かつての恋人・渚が
6歳の娘・空を連れて突然現れる

「しばらくの間、居候させて欲しい」

そう言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、
いつしか空も懐き、
周囲の人々も三人を受け入れていく。

そんな中、渚は妻・玲奈との間で
離婚と親権の協議をしていることを
迅に打ち明ける。

ある日、玲奈が空を東京に連れて戻してしまう。

落ち込む渚に対して、迅は
「渚と空ちゃんと三人で一緒に暮らしたい」
と気持ちを伝える。

しかし、離婚調停が進んでいく中で、
迅たちは、玲奈の弁護士や裁判官から
心ない言葉を浴びせられ

自分たちを取り巻く環境に
改めて向き合うことになっていく――。

「his」 制作スタッフ

監督

今泉力哉
 (『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』『mellow』)

脚本

アサダアツシ
 (『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』)

配給

PHANTOM FILM

「his」 キャスト(出演者)

宮沢氷魚
藤原季節
松本若菜

「his」 作品の雰囲気

コミカル←|―|―|―|●|―|→シリアス  
演技重視←|―|―|―|●|―|→見目重視
台詞重視←|―|―|●|―|―|→画図重視
けんぜん←|―|●|―|―|―|→えちえち
さわやか←|―|●|―|―|―|→じめじめ
現実主義←|―|―|●|―|―|→非現実的
特殊設定←|―|―|●|―|―|→王道設定

「his」 登場人物まとめ

井川 迅(いがわ・じん)

#茶髪 #高身長 #細身 #顔がいい #自給自足 #不器用 #寡黙 #匂いフェチ #一途 #健気 #秘密主義 #気遣い

 「そんなとこに寝たら凍死すんぞ ほら」
 「何が原因か分からないけど ちゃんと謝って やり直せよ」
 「だったらなんであの時 一緒にいてくれなかったんだよ」
 「いやいやゲイとかホモとか勘弁してくださいよ」
 「恋愛ごっこなんかじゃありません 彼を真剣に愛しています」
 「コーヒーあるよ 飲む?」

出典:今泉力哉『his』(PHANTOM FILM、2020年)

日々野 渚(ひびの・なぎさ)

#黒髪 #中背 #細身 #かわいい #子持ち #6歳娘 #親と疎遠 #サーファー #パイプオルガン工房 #バイ #自称ゲイ #器用 #正直 #飽き性

 「なんとなく 会いたくなったんだよ」
 「俺 迅がいないと生きていけない」
 「モノで釣るってズルくね?」
 「今まで普通じゃないって言われてたから 余計嬉しかった」
 「自分勝手に離れて 自分勝手にまた会いたくなって……」
 「悪いのパパだから 空 悪くないよ 全然悪くない」

出典:今泉力哉『his』(PHANTOM FILM、2020年)

この登場人物も重要

空(そら)

渚の娘。井川にも懐いている。

「his」 起承転結ネタバレ

ここから先はネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

起:別れた恋人が、子供をつれて訪ねてくる

田舎暮らしを満喫する井川(攻)の元へ、かつての恋人・日々野(受)が子供をつれて訪れる。しばらく泊めてほしいと頼まれ、断りきれなかった井川は場所を貸すことに。

承:ふたりは再び恋人同士に

居候する中で、互いに気持ちを捨て切れていなかった二人は、再び恋人同士となる。同性愛者であることを隠していた井川だったが、周囲に日々野との交際を打ち明ける。高齢者が多い地域のため、「この年になると男も女もかわらん。ははは」とあたたかく受け入れられた。

転:離婚調停と親権の行方は…

離婚調停の場へ。日々野の妻の弁護士から、差別的な発言を受ける井川。日々野の弁護士から、母親としての行動を非難される妻。そして家でストレスを抱え、問題行動を起こす娘。三者が苦しむ様子を見かねた日々野は、和解を申し入れる。

結:光の射すほうへ

結 末 は 本 編 で ♡
(エンディングの種類:ハッピーエンド)

今泉力哉「his」

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DVD

Blu-ray

「his」 感想

観ながら「チョコレートドーナツ」を思い出しました。

これ以上は「チョコレートドーナツ」のネタバレにもなってしまうので、「his」だけに絞った感想で言うと、洋服交換が物語の鍵になっているのが素敵でした。だいたい似た体格・身長(実際は10cmほど違いますが)だからこそできる、同性ならではのシチュエーション。

冒頭のシーンでは、洋服を交換した直後にフラれます。そこから少し時が経ち、娘を連れてやって来て……というところから物語が動き始めるのです。

もともと住んでいた場所からかなり離れた田舎町で、一人で暮らしている井川。このとき、交換した洋服をちゃんと持って来ているんですよ。何年も経っているし、何キロも離れた場所にいるのに。一方的にフラれたので未練が残っています。それもあって、自分勝手な「居候させてほしい」という日々野の願いを聞き入れてしまう。健気な人。

こういう健気で透明感のあるほうが受けっぽいなと思いきや、実は攻め。なお、映画は全年齢版なので詳細は描かれていません。ただ、日々野からキスをして誘ったとき、井川は押し倒し返しています。このときのオスみが凄いんですよ。てっきり子供を作っているほうがタチだろうと考えていましたが、本作は「固定観念を覆す」「普通を決めない」というメッセージがあるので、こういったところにも含まれていたのだと感じました。

ほかにも「固定観念を覆す」人々が出てきます。田舎の高齢者=ゲイに偏見がありそう、というのは、我々が持つ固定観念の1つではないでしょうか。作中に登場する田舎の高齢者は、ふたりのことを温かく迎え入れています。彼らの存在があったからこそ、「空をふたりで育てる」というステップに踏み出すことができました。

子持ちだけど復縁、ふたりで子供を育てるハッピーエンド(元妻に関してはご都合主義)……というがよくある子持ちBLですが、本作は離婚調停など薄暗いリアルな部分まで描いています。日々野・井川についた女弁護士が戸田恵子で、「絶対勝てるじゃん」と確信したのですが、ここでもまた「固定観念を覆す」をされましたね。

結局は和解を申し入れ、親権を奪われてしまった日々野。でもバッドエンドではありません。和解したことによって泥沼化せず、週末には全員揃って過ごせる仲になりました。完全なるハッピーエンドではないけれど、みんなが少しずつ妥協したことで、どん底に落ちる人は出なかった。あの流れではベストな選択。

観終わったあとにじんわりと胸があたたまる、そんな良作です。
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