トランスジェンダーについて考える映画でもありながらガチのアクション映画でもある韓国映画『ハイヒールの男』。チャン・ジン監督によるチャ・スンウォン主演の作品です。
クライマックスにあるハイヒールを履いてのアクションシーンは、色気と凄まじさに圧倒されます。試聴後はトランスジェンダーについて考えさせられる、含みのあるエンディング。本日はそんな作品についてたっぷり紹介&考察していきますね!
「ハイヒールの男」 作品情報
作品名
ハイヒールの男
監督/脚本
チャン・ジン
(『SPYリー・チョルジン 北朝鮮から来た男』『小さな恋のステップ』)
主演キャスト
チャ・スンウォン
ホン・テウイ
イ・ドンギル
配給
クロックワークス
「ハイヒールの男」 作品の雰囲気
コミカル←|―|―|―|●|―|→シリアス
演技重視←|―|―|●|―|―|→見目重視
台詞重視←|―|―|●|―|―|→画図重視
けんぜん←|●|―|―|―|―|→えちえち
さわやか←|―|―|―|●|―|→じめじめ
現実主義←|―|●|―|―|―|→非現実的
特殊設定←|●|―|―|―|―|→王道設定
攻の良さ←|―|―|―|●|―|→受の良さ
「ハイヒールの男」 登場人物まとめ
当サイトは「本日のボーイズラブ」のため、BL要素を抜き出してまとめています。ご了承ください。
ユン・ジウク
本作の主人公。屈強で冷徹だが、女性になりたいと考えている。
#黒髪 #長身 #筋肉質 #トランスジェンダー #刑事 #ストイック #真面目 #冷徹 #一途 #硬派
「こっちに打ってください 右腕にはボルトが入っているので」
出典:チャン・ジン『ハイヒールの男』(クロックワークス、2015年)
「神様も忘れてる 忘れられ見捨てられる人間がたくさんいます」
「気持ち悪い やめろ 俺たちは異常だ 病気なんだ」
「15分ごとに 1箇所ずつ 痛めつける まずは首からいくか」
「君と妹 目がそっくりだね」
「ずっと苦しんでた 女の部分を隠すのはとても辛いことだった」
「どこにいても俺が守ってやる」
???(名札がハングルで読めませんでした…)
ユン・ウジクの元恋人。学生時代に付き合っていた男の子。
#黒髪 #中背 #華奢 #男前 #ロマンチスト #衝動的
「瓶のフタで削った 指輪みたいだろ」
出典:チャン・ジン『ハイヒールの男』(クロックワークス、2015年)
「愛してる」
「ハイヒールの男」 あらすじ
起
マル暴(暴力団専門の刑事課)のユン・ウジクは、誰もが恐れる強靭な肉体と身体能力の持ち主。
刑事でありながら半ばヤクザのような言動をする彼は「男の中の男」として憧れられていた。
しかし、実は女性になりたいと思っているユン。
ホルモン注射を打ち、少しずつ女としての自分を作りながら、退職する準備を進めている。
アメリカで手術して、完全に女として生きるためだ。
そのための資金を得るべく、ヤクザと手を組むこともあった。
承
優秀なユンを失いたくない上司は、退職届を拒絶。
さらには担当外の事件を押し付けてきた。
レイプ犯を捕まえることになったユンは、ショーパブの女・チャンミに囮捜査を依頼する。
狙い通りチャンミを襲ってきた犯人を逮捕することができたが、彼女は怪我を負ってしまう。
そのことをやけに気にしていたユンを意外に思った部下は、二人に何か繋がりがあるのではないかと考える。
転
ユンは学生時代、男と交際していた。
彼はユンの目の前で飛び降り自殺をして、亡くなっていた。
同級生からのいじめにあったこと、自身の性的嗜好を恋人のユンからも否定されたこと、ユンが引越ししてしまうこと……。
様々な問題に耐えきれず、彼は「妹を守ってほしい」と言い残して死んだ。
その妹こそがチャンミだったのだ。
彼女がユンの弱みだと知ったヤクザが、水面下で動き出し……。
結末は本編をご覧ください!!
「ハイヒールの男」 感想と考察
三者三様を描いていて、興味深い作品でした。
「何もかも捨てて女になった人」
→ショーパブのトップ
「心残りがあって中途半端な人」
→ショーパブの男の娘
「何もかも諦めて男のままの人」
→ユン・ウジク
おそらく、ユン・ウジクにとってはあのアメリカ行きのチケットがラストチャンスでした。
巨額の資金が調達できるのも、手術やその後を考えたときの年齢としても。
事件後に退職をしてから何をしているかは分かりませんが、風貌や車種(ヒュンダイ)から、あまり儲かっていないことが推察できます。
次に手術費用が溜まるとしたら、数年以上はかかる。
また黒い金に手を染めた場合、チャンミに被害が及ぶかもしれないので、それはできない。
まっとうに稼ぐとなると、50代か、60代。
その年齢では手術のための体力もないでしょうし、手術に耐えたとしても、その後どうするのか。
諦めてしまうのも無理はありません。
やりきれないラストシーンでしたね〜……。
「トランスジェンダーについて、色々な視点から考えるようになってほしい」
という意図が伝わってくるようでした。
エンディングはしっとりとしていて考えさせられますが、説教くさい映画ではないです。
アクション映画としての派手さ、格好よさもあり、エンタメ映画としても面白い。
学生時代のピュアきゅんシーンもBLファンには見どころ!!!!
最後に完全な蛇足ですが、個人的に好きだった脇役のオッサンたちを紹介しときます。
1)ユンがホルモン注射を打っていることを
最後まで明かさなかった医者(えぐい拷問を受けているのに言わないプロ根性かっこよ〜)
2)空港の職員(パスポートの写真と違ってもスルーして通過させてくれる優しさ)
3)タクシーの運転手(血まみれのユンを何も言わずに乗せてくれる器のデカさ)