ライバルと同居【BL漫画感想】じゃのめ『残像スローモーション』レビュー

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実は小心者なナルシスト × 強気でプライド高めな腐男子

作品名
残像スローモーション 
作者名
じゃのめ
レーベル
ハニーミルク

男子校の寮生3年、映画部部長・菊地原 仁。眉目秀麗、成績優秀、運動神経抜群、自信家で派手好き。いつも人に囲まれている人気者だが、ひとつ歳下の部活の後輩・市川義一は異様にライバル心むき出しでつっかかってくる。そして菊地原の方もまた、市川を意識していた。ある日、そんな2人が寮の同室になってしまい…!? ぶつかりあいながらも惹かれあう、不器用で切ない青春恋愛譚。

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じゃのめ『残像スローモーション』 作品の雰囲気

コミカル←|―|●|―|―|―|→シリアス
物語重視←|―|―|●|―|―|→人物重視
台詞重視←|―|●|―|―|―|→表情重視
けんぜん←|―|―|●|―|―|→えちえち
さわやか←|―|●|―|―|―|→じめじめ
現実主義←|―|―|●|―|―|→非現実的
特殊設定←|―|―|―|●|―|→王道設定
攻の良さ←|―|―|●|―|―|→受の良さ

じゃのめ『残像スローモーション』 攻めキャラクター

菊地原 仁

#茶髪 #長身 #細身 #涙ボクロ #顔がいい #18歳 #高校生 #映画部 #ナルシスト #リーダーシップ #気づかい #小心者

「…確かに俺はモテるよ カノジョも途切れた事ないしな…けどみんなすぐ離れていってしまう…所詮見た目だけで選ばれて 想像と違ったら捨てられるんだよ」(21ページ)
「…俺の演技が上手すぎて照れてしまった? おまけに声が良すぎだし 攻めに実際に言われているような気分になり照れてしまった…?」(90ページ)
「俺にとって チームの誰かが不満を持ってる事の方が問題だ いつだって部員全員が楽しんでほしい」(168ページ)
「お前は…? 俺の情けない部分に呆れたりしてないか?」(218ページ)

出典:じゃのめ『残像スローモーション』(講談社、2020年)

じゃのめ『残像スローモーション』 受けキャラクター

市川 義一

#黒髪 #中背 #細身 #めがね #17歳 #高校生 #祖父と二人暮らし #強気 #正直 #オタク #腐男子

「最後はハッピーしかねえ! これだからBLはやめられねえ!」(62ページ)
「…俺ってさぁ なんで思った事そんまま言うのかね…真実でも言っちゃいけない事もあるのに…」(116ページ)
「…アイツがまわりを気にしてばっかりで自分を出せないのはアンタらのせいだ 何故 自由に やらせてやらない?」(132ページ)
「確かに俺は 自分に厳しくあるつもりだ! だが! 一番悪いのは俺の才能を認めない世間だろ!」(154ページ)
「……俺ばっかり気にするな…お前の…好きにヤれよ…仁」(186ページ)

出典:じゃのめ『残像スローモーション』(講談社、2020年)

じゃのめ『残像スローモーション』 攻め受け比較

年齢:攻 > 受
身長:攻 > 受
体格:攻 = 受
階級:攻 = 受
立場:攻 > 受

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じゃのめ
『残像スローモーション』

じゃのめ『残像スローモーション』 ざっくり起承転結

ここから先はネタバレを含みます。
ご注意ください。

映画部に所属している菊地原(攻)と市川(受)。
3年チームの監督と2年チームの監督である二人は、互いをライバル視している。
映画への価値観の違いから、いつも言い争いが絶えなかった。

ある日、市川の祖父が病に倒れる。
今まで祖父と二人暮らしの実家から通っていた市川だが、退院するまでの間、入寮することになった。

同室の相手は菊地原だ。

おじいさんの事

大変だね

良かったら…

なんでも言ってくれ

力になるから

……ありがとう

素直に礼を言う市川が予想外で、菊地原は拍子抜けしてしまう。
数日間ともに過ごしていると、映画に関すること以外は、気の合ういい後輩だと気づき始める。

腐男子である市川からBL漫画をオススメされ、読んでゆくうちに、菊地原は市川との淫らな夢を見てしまう。

それ以来、市川が可愛く見えて仕方がない。

いってきます

「…いってきます」

だって

…かわい…

最初は自分の気持ちを否定していた菊地原。
しかし、元々のキザな性格もあり、やがて目の前で「可愛い」と言い始める。

映画の話をしなければ甘い雰囲気が続くと分かった菊地原は、寮内では映画の話を避けるようになった。

ところが、部員の一人が部活を辞めたいと菊地原の寮室へ相談に来る。

説得を試みる菊地原と、やる気がない奴は辞めればいいと考える市川は折り合いがつかず、ふたたび険悪な雰囲気が漂い始める。

そのまま点呼時間となり、話は明日へ持ち越すことに。

ふたりきりになった部屋で、菊地原は1つルールを提案する。
「この部屋で映画の話は禁止」
不思議そうにする市川へ、好きだから仲良くしたいと告白。

戸惑う市川に対し、菊地原はこれまで以上に好意を口にするようになった。

思ってもいい

口に出すな

胸に秘めておけ

黙っているワケ 

ないだろう? 

俺は告白したんだぞ!?  

アピールするに 

決まっている! 

スキあらば 

口説いていくからな!

同室である以上、菊地原から何度も口説かれる。

そんな状況を知ってか知らずか、菊地原チームの部員が市川へ
「辞めたがっていた部員は菊地原の説得と脚本の修正で継続することになった」
と伝えに来る。

「撮りたいものを撮る」よりも「みんなで楽しく撮る」を優先する菊地原に、周囲が甘えすぎていることが気に食わない市原。
もっと厳しくしたほうがいいと告げようとするが……

結末は本編で

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じゃのめ
『残像スローモーション』

じゃのめ『残像スローモーション』感想レビュー

尻で抱くタイプの受けis正義。

表紙だけ見ると「強引な攻め様×ツンデレ受け」って感じの印象なんですが、
本編のスケベシーンでは市川が尻で抱くんですよ……。
でも反応と表情はちゃんと可愛い。

セックス序盤(172ページ〜)では
菊地原がかなりリードしていて、
未経験+童貞の市川にかなり攻めます。
でも尻をいじりはじめた
中盤(186ページ〜)からは
さすが生粋の腐男子・市川、
男前な誘い方をしてくれます。

菊地原は自信家でナルシストですが、
実は小心者で自分より他者を優先する人。
なので、市川のように誘ってくれないと
挿入まで至らないと思うんですよね。
小心者である一方、
前向きで忍耐強いので、
延々と指でいじってそう。

そしてこの172ページからの
セックスシーン、
フランス映画のような
品があって素敵なんですよ。
(フランスの恋愛映画ほぼ100%セックスする)
なんというか、
「局部ドーン!汁ぴゅっぴゅっ!」
というエロスではなく、
「”二人が”愛し合っている…Oh…」
というエロスですね。
絵が綺麗で構図も豊富なので、
飽きがこない美しいセックス。

なんだか性描写の部分について
長々と話してしまったんですけど、
高校生らしい青春感のある
ストーリーも魅力的です。

部員が辞めたがって説得する部長とか、
アマチュアならではの気の緩みとか、
それでも楽しくやれているところとか、
高校生の「部活」って感じが良い。
とくに描き下ろしのラストシーン、
キリンレモンかよ〜〜〜ってくらい
爽やかでまぶしくて尊い。
廃れた大人になると「ズッ友(笑)」
みたいになりがちですが、
ズッ友は尊いんだよ……。
ホロリと来るエンディングでした。

『黄昏アウトフォーカス』の
スピンオフではありますが、
単体で読んでも面白い作品です。

部活の青春感、
受けへの愛情表現が激しい攻めが

好きな方にオススメです!

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『残像スローモーション』