依頼で好きな人を抱く【BL漫画感想】恋煩シビト『暑い夏、ぼくらは。』レビュー

本日のオススメ
恋煩シビト「暑い夏、ぼくらは。」
(comic marginal/双葉社/2021年)

あらすじ

怪しい高額バイトをすることになった大学生の丈一郎。その内容は、 “先生”と呼ばれる脚の不自由な紳士の目の前で、彼の愛人を抱くこと。
しかもその愛人・冬真は“ハジメテ”らしい。戸惑いつつも、妖艶な冬真に魅せられて肌を重ねる丈一郎だったが、冬真のことを知れば知るほど、彼を好きになってしまって…。

【攻】純情な年下ワンコ大学生
×
愛人なのに“ハジメテ”な健気美人
【受】

アイドルオタクで常に資金不足な大学生・丈一郎(攻め)が、脚の不自由な紳士が囲っている美人な愛人・冬真(受け)を抱くことで300万円もらえることになり…というところから始まるストーリーです。

オススメしたい人は…

  • 「素直で人懐こい大学生ノンケ攻め」が好きな人
  • 「ミステリアスで健気な美人受け」が好きな人
  • 「切ない三角関係」に萌える人
  • 「ひと夏の恋+山奥の別荘」を求めている人
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恋煩シビト「暑い夏、ぼくらは。」 あらすじ

怪しい高額バイト
することになった
大学生の丈一郎。

「僕の愛人を抱いてほしいんだ」

“先生”と呼ばれる
脚の不自由な紳士の目の前で
彼の愛人を抱くという仕事内容

しかもその愛人・冬真は
“ハジメテ”らしい。

戸惑いつつも、
妖艶な冬真に魅せられて
肌を重ねる丈一郎だったが、
冬真のことを知れば知るほど、
彼を好きになってしまって…

恋煩シビト「暑い夏、ぼくらは。」 作品の雰囲気

作品の傾向チャート

コミカル←|―|―|―|●|―|→シリアス
さわやか←|―|―|―|●|―|→じめじめ
物語重視←|―|―|―|●|―|→人物重視
台詞重視←|―|―|●|―|―|→表情重視
けんぜん←|―|―|●|―|―|→えちえち
現実主義←|―|●|―|―|―|→非現実的
特殊設定←|―|●|―|―|―|→王道設定
攻の良さ←|―|―|―|●|―|→受の良さ

ヘヴィー度チェック

身体虐待……………………………なし
精神虐待……………………………なし
自傷行為……………………………なし
流血表現……………………………なし
内臓描写……………………………なし
近親相姦……………………………なし
モブ強姦……………………………なし
主役の死……………………………なし

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恋煩シビト
「暑い夏、ぼくらは。」

恋煩シビト「暑い夏、ぼくらは。」 登場人物紹介

攻め:榊 丈一郎(さかき・じょういちろう)

#黒髪 #長身 #細身 #20歳 #大学生 #アイドルオタク #ワンコ #コミュ強 #粘り強い

あ〜〜〜〜〜かわいい〜〜〜〜早く会いたいな〜夢乃ちゃん 永遠に見てられるわ この衣装もめっちゃ似合っててかわいいわ〜

引用元:恋煩シビト『暑い夏、ぼくらは。』48ページ、双葉社、2021年

身体は繋がっても心が繋がらなければ こんなにも 俺だけが 苦しい

引用元:恋煩シビト『暑い夏、ぼくらは。』184ページ、双葉社、2021年

受け:菜月 冬真(なつき・とうま)

#金髪 #中背 #細身 #美人 #22歳 #愛人 #家庭に問題 #健気 #献身的 #お茶目 #神秘的

掃除は自分でして 何か出るけど気にしないで 山だし虫も出るよ 
あっはっはウソウソ 君の部屋こっち!!

引用元:恋煩シビト『暑い夏、ぼくらは。』16ページ、双葉社、2021年

だって 先生には……僕がいないと…

引用元:恋煩シビト『暑い夏、ぼくらは。』161ページ、双葉社、2021年

攻めと受けの比較

年齢:攻め < 受け
身長:攻め > 受け
体格:攻め = 受け
立場:攻め < 受け
階級:攻め < 受け

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恋煩シビト
「暑い夏、ぼくらは。」

「暑い夏、ぼくらは。」 感想レビュー

おすすめポイント1:山荘で始まる、秘密の夏の恋

 夏の山荘で「愛人を抱いてほしい」と頼まれ、身体を重ねることになる……。あらすじから耽美な雰囲気。物語が進むにつれ、互いに惹かれ合ってはいるけれど本命は別にいる、という背徳的な状況に。なんとも悶える展開。夏を感じる場所で逢瀬する丈一郎(攻め)と冬真(受け)。青々とした草木に囲まれる川辺や、祭りの賑わいなど、風景が丁寧に描かれているのも見どころです。
 作中のキーアイテムは花火です。丈一郎(攻め)と二人きりになることを選んだ冬真(受け)が選んだのは線香花火(74〜78ページ)。海堂(“先生”)の元へ行こうとする冬真の背には打ち上げ花火(157〜161ページ)。このコントラストも綺麗で素敵ですね。手に届くけど「上手にやらないと落ちちゃう」のが丈一郎で、圧倒的で心惹かれるけど手に届かないのが海堂。そんな風にも読み取れます。

おすすめポイント2:切なすぎるセックス

 最初は、軽い気持ちでセックスをすることにした丈一郎(攻め)。一緒に過ごしてゆくうちに惹かれてしまい、複雑な心境で冬真(受け)を抱くことになります。
 とくに110〜113ページのセックスがとても切ないです。身体をつなげているのは丈一郎と冬真。でも、心が繋がっているのは冬真と海堂(あらすじの“先生”)。冬真と手を握り合ってキスするのは海堂で、下半身だけが丈一郎のもの。字面だけでもつらさが分かると思います。このシーン、丈一郎の目線とモノローグがなんともやりきれないのです。
 そんな丈一郎は「俺なんて もはや ちんちんっすよ 人格のない性器! 人肌のバイブなんすよ」(136ページ)とコミカルに海堂へ告げています。こういった、少し和らぐ場面がところどころに入ってくるので、ドロドロな空気になりすぎないのも良かったです。

おすすめポイント3:浸れるエンディング

 海堂(“先生”)との付き合いが続くからこそ、沁みるエンディングになっています。冬真(受け)と海堂の関係を清算して終わりではなく全員が新しいスタートを踏み出すかたちの終わり方。数年経っても全員で連絡を取り合う関係性を築いています。海堂が性根は良い人なだけに、こうなって良かったなとしみじみ感じられるんですよ。少し変態入ってますが、冬真を思う愛と情は持っている男なんです。
 ちなみに電子書籍の描き下ろし、海堂のその後が描かれています。家政婦さんとSNSで楽しそうにしていて何より。

 途中ギュッと切ないけど、読後のじんわりと温かいエンディングが素敵な1冊です。

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