【アメリカ映画】フランクリン・J・シャフナー『パピヨン』感想レビュー

作品名
パピヨン
監督
フランクリン・J・シャフナー
(『猿の惑星』『パットン大戦車軍団』)
脚本
ダルトン・トランボ
(『ローマの休日』『素晴らしき哉、人生!』)
ロレンツォ・センプル・ジュニア
(『パララックス・ヴュー』『キングコング』)
主演
スティーヴ・マックィーン
ダスティン・ホフマン
配給

東宝

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あらすじ

〈1931年、パリ〉「狂乱の時代」の終焉。
胸に蝶の刺青を入れていることから
“パピヨン”と呼ばれた男は、
無実の罪で終身刑を言い渡され、
フランス領ギアナの悪魔島に送られる。

周囲を海に囲まれた、
この島は脱出不可能な場所として知られ、
囚人達は人権をはく奪され、
過酷な強制労働を科せられていた。
絶望と死が支配する場所で、
自由と希望を求めて足掻くパピヨンは、
志を同じくする紙幣偽造の天才ドガと出会い、
やがて二人は奇妙な友情で結ばれてゆく…。

作品の雰囲気

コミカル←|―|―|―|●|―|→シリアス  
演技重視←|―|―|●|―|―|→見目重視
台詞重視←|―|―|●|―|―|→画図重視
けんぜん←|●|―|―|―|―|→えちえち
さわやか←|―|―|―|●|―|→じめじめ
現実主義←|●|―|―|―|―|→非現実的 実話を元にしたストーリー
特殊設定←|―|―|●|―|―|→王道設定

登場人物

パピヨン

#黒髪 #長身 #筋肉質 #タトゥー #肉体派 #妻帯者 #終身刑 #殺人事件 #野心家 #タフ #男前 #やんちゃ #負けず嫌い #動物好き

「生き残るためだ 人間は尻に物を隠せる」
「いや なんでも食ってやるぞ くたばるもんか」
「いいか お前は俺に借りがない」
「俺を裏切ったら 殺す」
「一緒に来い チャンスを逃すな 連中はお前を逃さないぜ」
「俺たちだけが残った」
「ルイ 何も言わなくていい」

出典:フランクリン・J・シャフナー『パピヨン』(東宝、1973年)

ルイ・ドガ

#黒髪 #中背 #細身 #瓶底眼鏡 #頭脳派 #偽札作りの名人 #妻帯者 #内気

「初めて会った時 あんたをとんでもない食わせ者だと思った」
「交渉は俺に任せてくれ」
「奴は命がけで助けてくれた 生まれて初めてだ」
「お別れだ 幸運を祈る」
「女房のことだが…弁護士に口説かれて結婚した」
「お前の家に 幽霊はでないよ」
「死ぬぞ 分かってるのか 頼む やめてくれ」

出典:フランクリン・J・シャフナー『パピヨン』(東宝、1973年)

攻めと受けの対比

年齢:攻?受
身長:攻>受
体格:攻>受
階級:攻>受
立場:攻=受

起承転結ネタバレ

ここから先は
本編のネタバレ
となります。
本編を未視聴の方はご注意ください。

起:悪魔島に飛ばされたパピヨンとドガ

1931年のパリ。終身刑になった男・パピヨン(攻)と、偽の国債を発行させた罪で囚われたドガ(受)は、海で囲まれた脱出不可能な「悪魔島」へと送られる。パピヨンはドガを守ることを条件に、金の工面をしてもらうことに。キッカケは相互が得をするためだったが、次第に友情が芽生えてゆく。

承:パピヨンは独房へ

ある日、看守からいじめられていたドガを助けたパピヨン。反逆した罰として独房へと入れられてしまう。薄暗い中、食事は最低限のみ。パピヨンの健康を危惧したドガは、ヤシの実を密かに届けた。看守はパピヨンに対し、「ヤシの実を送った人物の名前を教えなければ食事を減らす(=餓死させる)」と脅すが、パピヨンは口を破らず、虫を食べて生きながらえた。

転:脱獄成功!しかし…

独房期間を終えたパピヨン。他の囚人と過ごしていると、「協力をするから一緒に脱獄してほしい」と願う者が現れた。結託して脱獄を測るも、買収したボートが壊れていたり、ドガが足の骨を折る大怪我をしたりなど難航する。なんとか入手した新しい船でホンジュラスの島へ到着。しかし、ドガの怪我が原因で、二人は離れ離れになってしまう。パピヨンは、原住民とののんびりした生活を手に入れたかのように見えた。しかし、看守に発見され、脱獄の罪で再び独房へ。

結:死か自由か

5年後、独房を出たパピヨンだったが、さらなる僻地へと送られる。崖の上の孤島だ。檻こそないものの、看守が目を光らせている。そこには、ドガも暮らしていた。ドガは妻に裏切られ、出所する金も機会も失われたが、檻のない小さな島で、畑を耕しながら生きている。その生活に満足しているドガに対し、一刻も早く自由になりたいパピヨン。脱獄した場合、看守から見つかっても死亡、海で力尽きても死亡。それを知りながらも、大海原へと飛び出す。その結果──

続きは本編をご覧ください!

おすすめポイント

1時間12分ごろにある
ドガ(=ダスティン・ホフマン)の
「こんなん好きになっちゃう〜!!」
って表情も愛らしいんですが、
「そりゃ好きになっちまうよぉ〜!!」
って思うほど男気を発揮するパピヨンが
めちゃくちゃ格好いいです。
たとえ餓死寸前まで陥っても
ドガを裏切らないところとか、
ハンセン病患者を恐れず
がっちり握手するところとか。
(ハンセン病患者の男性も、
 自分の貯金を
 パピヨンに全部あげちゃうほど
 好きになっちゃう…)
もうね、スーパー攻め様感がすごい。

パピヨン役のスティーヴ・マックィーンが
独房に入れられている間の演技も素晴らしい。
どんどんゲッソリしてゆくし、
ゴキブリまで捕まえて食べようとしちゃうのに
目はギラギラで闘争心に溢れていて、
「まだ諦めていない」
という意志がひしひしと伝わってきます。
2回目の独房から出てきて、
真っ白な頭になっても、
故郷を渇望する瞳の強さが衰えません。

2人とも妻帯者でヘテロなので、
BLではないのですが、
ブロマンスとしても最高傑作の1つ。

脱獄ものとしては
わりとシブいエンディングですし
あまり派手なシーンはないのですが、
歳を取れば取るほど
良さが分かるタイプの名作です。

予告映像と本編の視聴はこちら

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リメイク版(2018)

2018年にリメイク版が出ました。

解像度や特殊メイクのクオリティは原作を上回っているので見応えがあります。
一方で、元々の原作がかなり優れていることもあり、正直「リメイクしただけ」という印象も拭きれません。役者はどちらも優れた演技でしたし、カメラワークも双方別々の良さがあります。
どちらを観ても良い作品であることに変わりありませんが、グロテスクな描写が苦手な方は、1973年版を推奨します(血のりの技術が未発達な時期に作られているので、絵の具っぽさが強い)。

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