タイトル | とめどなく、シュガー |
作者名 | 児島かつら |
出版社 | 竹書房 |
連載状況 | 完結(上下巻) |
就活の内定報告になじみの店へ顔を出した帰り道男同士の痴話喧嘩に遭遇した敬太。
スルーしようと思いつつも助けに入ると、絡まれていたのは苦手な大学の同級生・理一だった。
強気な言葉に反し震える様子に自宅に連れ帰ることに。お互いの悩みや失恋話、ゲイであることをぶちまけ合う中“励まし合い”としてセックスをする敬太と理一。
帰り際、次に会うのは卒業式かと話すついでのように理一から好きだったことを伝えられる。理一のことが頭から離れないまま、大学最後の日を迎え、敬太から逃げるように立ち去ろうとする理一を捕まえるが告げられたのは改めての告白と決別の言葉で――?
※「#マイベストBL2022」で多くの方が挙げていた注目作品!
※「ファイブコーナーズコーヒー」のスピンオフですが単体でも読めます。
児島かつら「とめどなく、シュガー」 第1話 あらすじ
攻め:仁科敬太(イケメン/クール/ポーカーフェイス/男前/空手/ゲイ/大学生)
受け:矢井場理一(陽キャ/チャラい/地方出身/方言/隠れゲイ/大学生)
ほか:公彦(仁科のバイト先のオーナー/仁科と身体の関係あり)
第一志望への内定が決まり、行きつけのゲイバーへ向かった敬太。
内定祝いとは別に、失恋のヤケ酒もかねていた。
帰り道、男に絡まれている理一を発見。
どうやら理一から男を誘ったようだが、複数プレイを求められ、トラブルに発展したらしい。
見かねた敬太は助けに入るが、相手が悪く、殴り合いの喧嘩に発展。
これ以上は大事になると判断した敬太は理一を連れて逃走。
相手が見えなくなったところで、足を止めて理一の話を聞こうとする。
軽口を叩きながらも震えが収まらない姿を見て、家へ招くことにした。
自宅へ招いたは良いものの、敬太は理一が苦手だった。
軽薄な言動が自分とは合わないと感じていたからだ。
それを伝えると、理一は嫌われていることを知りながらも何度も飲みに誘ったと告げる。
なぜ嫌われているのかも分かっていたが、調子のいい性格を変えることはできなかった。
大学を出たら田舎で暮らす父親の元で働くことになっており、
そのためには渡世術としてキャラクターを演じざるを得なかったのだ。
学生生活も残りわずか。
田舎へ戻ったら、今の性格を演じ続けなければならない環境になる。
ゲイであることも隠し通すことになる。
そうなる前に、最後くらいはありのままになろうと自ら男を誘ってみたのだ。
敬太は理一の境遇を聞き、自分の現状を話し始める。
好きな相手と身体だけの関係は作れたが、心までは奪えなかった。
失恋をしたばかりであることを打ち明けると、理一は手を伸ばして頭を撫でてきた。
その後の行動に意外な一面を感じた敬太は、コンドームの箱を取り出す。
励まし合おうか
理一をベッドへ誘い、互いを慰め合うために肌を重ねる。
初めて男を受け入れた感想を聞くと、理一は「嬉しい」と目を細めた。
その言葉に少し引っかかる敬太だったが、受け流して行為を続ける。
翌朝、部屋を出ていく理一が不意に言った一言は
好きだったヤツに
抱かれたのは
いい思い出だ
素の理一に惹かれ始めた敬太は──
続きは 本編 をご覧ください!
児島かつら「とめどなく、シュガー」 第1話 感想レビュー
※個人の感想です
カバーイラストの印象よりもずっとスケベでござった……! ふわっとした水彩に爽やかなシチュエーションが描かれていたこともあり、なんとなくライトBLっぽい気がしていました。レーベルは「Qpa」(※お尻の穴が開く音「くぱぁ」から来たネーミングのレーベル。卑猥である)だったんですね。納得の第1話です。
慰め合うためのセックスから始まり、徐々に相手の深い部分を知ってゆく関係性。苦手だなと思っていた相手の嫌な部分が実は演技だったと分かったり、素の状態は可愛いと感じたり。惚れられていたほうが惚れてゆく過程が大好きな民には嬉しい展開になりそうです。
想定外のスケベさと萌えもある一方、カバーイラストで感じたじんわり系な部分もありました。ここぞというときの詩的なワードセンスに、ドラマチックな構図。その直後にキャラクター自身が茶化すのも含めて最高にエモいシーンは必見。
受けが攻めの頭をナデナデするの良きですね!! 尻抱き系の受けではなく、純情でおぼこい感じがなんとも言えずかわいい。攻めも王道に格好いい。ピンチに駆けつける元空手部とか惚れ直すに決まっとる。
スピンオフ作品ということですが、私はスピン元を知らずに読んでいました。スピンオフ感はあるものの、読んでいないと置いてけぼりというほどではないです。敬太(攻め)の失恋について詳しく知っておいたほうが話の解像度は上がるかもしれません。
児島かつら『とめどなく、シュガー』 単行本 情報まとめ
上下巻で完結して販売されています!
児島かつら『とめどなく、シュガー』 上下巻 感想レビュー
作品の雰囲気が分かるチャート
コミカル←|―|―|―|●|―|→シリアス
さわやか←|―|―|●|―|―|→じめじめ
物語重視←|―|●|―|―|―|→人物重視
台詞重視←|―|―|●|―|―|→表情重視
けんぜん←|―|―|―|●|―|→えちえち
現実主義←|●|―|―|―|―|→非現実的
特殊設定←|―|―|―|●|―|→王道設定
攻の良さ←|―|―|●|―|―|→受の良さ
怖いものチェックリスト
精神暴力……………………………×
身体暴力……………………………×
自傷行為……………………………×
流血表現……………………………×
内臓描写……………………………×
近親相姦……………………………×
モブ強姦……………………………×
主役の死……………………………×
ホラー系……………………………×
リアル虫……………………………×
リバ表現……………………………×
修正について
白抜き修正でした。
エンディングについて
ハッピーエンドです!
描き下ろしについて
上巻:初めての交際について2ページ/あとがき1ページ
下巻:ライバルに遭遇した日について10ページ/あとがき1ページ
電子書籍限定特典について
上巻:引っ越し初夜について2ページでした。これは下巻まで読んでから見るのを推奨します!
下巻:ベッドのサイズについて4ページでした。
児島かつら『とめどなく、シュガー』感想まとめ
「#マイベストBL2022」でたくさんの方が挙げられていた作品なだけあって、最高でした……!
正直なところ、第1話はわりと王道な感じだったので、マイベストに食い込むほどかな? と少し疑問に思っていました。ところが2話以降、特に下巻が素晴らしかったです。遠距離恋愛やカムアウトの話題など、等身大なゲイカップルの姿を情緒深く描き切った作品でした。エロシーンも下巻かなり良かったです。Mっ気のある受けの求め方が最高にかわいい!! 迷っている方は上下巻まとめ買い推奨です。
ちょっとだけ引っかかったのは、カムアウトしている=アウティングしてもOKみたいに扱われているところでした。カムアウトしていてもアウティングされるのは嫌って人も多いので……。リアリティのあるカップルの等身大の物語だっただけに、悪目立ちしてしまった印象がありました(※個人の意見です)。